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[開催報告]パートナーシップ・ダイアローグ~生態系をいかした防災・減災のこれからを考える~
2015/09/19


2015年8月6日に地球環境パートナーシッププラザにて「パートナーシップ・ダイアローグ~生態系をいかした防災・減災のこれからを考える~」を開催しました。

※以下原稿提供:共催団体 国連生物多様性の10年市民ネットワーク(UNDB市民ネット)

4年前の東日本大震災以降、防災・減災という観点から、社会のしくみを再構築することは、NGOにとっても重要な課題となっています。

今年は3月に仙台市で国連防災世界会議が開催され、また9月に国連で採択されるSDGs(Sustainable Development Goals、持続可能な開発目標)でも、防災というテーマが取り上げられています。その中でも近年注目されているのが、Eco-DRRやグリーンインフラと呼ばれる「生態系をいかした防災・減災のしくみ」です。これらのしくみを持続可能な地域づくりに役立てるには、どうしたらよいでしょうか。

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環境省自然環境局 八元綾氏の発表

今回のイベントでは、関係省庁の担当者の方々をお招きし、こうした取り組みの現状や今後の課題についてうかがいました。ちなみに、UNDB市民ネットでは、「防災と生物多様性」グループがこのテーマについて活動しています。

最初の講演では、環境省自然環境局の八元綾氏から、Eco-DRRの概要を紹介していただきました。
このEco-DRR(Ecosystem-based solutions for Disaster Risk Reduction)とは、生態系がもつ物理的な機能を活用した防災・減災のことです。例えば、海岸線に緩衝地帯として保護林や湿地を設け、津波の被害を軽減するといったこと、国内でも、陸前高田市小友浦などの事例があります。また、現在実施にあたっては、Eco-DRRの機能を適切に評価・検証するためのツールの整備や、それにもとづいた地域社会の合意形成などが課題となっています。

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国土交通省国土政策局 岩浅有記氏の発表

続いて、国土交通省国土政策局の岩浅有記氏から、グリーンインフラについて報告していただきました。
グリーンインフラとは、自然環境の多面的な機能を活用したインフラ整備・土地利用のことです。報告では、大分県中津干潟、青森県木野部海岸での防災と景観・環境保全の両立といった事例が紹介されました。グリーンインフラは、多機能であるだけでなく、長寿命・低コストでもあり、現代の人口減少社会において大きな可能性を有しているでしょう。

その後の質疑では、従来の“グレー”インフラからどのようにグリーンインフラへの転換を図るのか、防災優先の事業が進んでいしまっている被災地の復興計画において、自然環境の視点をどのように取り入れていくのかといったことが議論されました。

今後は、被災地の復興計画の中でも、Eco-DRRやグリーンインフラのしくみがさらに取り入れられることはもとより、それ以外の地域、あるいは都市部でも、積極的に活用し、主流化を図っていく必要があると感じました。