サステナビリティCSOフォーラム

HOME > コラム寄稿 > [サステナビリティ紀行]-NGOと企業の連携推進を目指すネットワーク活動からみえるもの

[サステナビリティ紀行]-NGOと企業の連携推進を目指すネットワーク活動からみえるもの
2016/01/27


地球規模の課題を解決し、持続可能な社会をつくるためのNGOと企業の連携を推進するために、2008年「NGOと企業の連携推進ネットワーク」が設立されました。同ネットワークでは、NGOと企業が双方の特性を認識し、資源や能力等を持ちより、対等な立場で連携するため、定期的な対話やイベント、調査研究などの活動を行っています。SDGsの達成に向けて、企業とNGOはどう連携を進めていけばよいのでしょう。同ネットワーク事務局の認定NPO法人国際協力NGOセンター(JANIC)藤森さんよりお話を伺いました。

(語り手:認定NPO法人国際協力NGOセンター(JANIC)藤森みなみさん)

「NGOと企業の連携推進ネットワーク」の運営にはどのような方が関わっていますか。SDGsの採択は、これまでの活動にどのような影響を及ぼし得るでしょうか。

NGOと企業の連携推進ネットワーク(連携ネット)には、NGO33団体と企業27社(主にCSR・社会貢献部)(※)が参加しています。活動を行なうにあたり、NGO・企業メンバーからそれぞれ「コアメンバー」を選出し、年に数回「コアメンバー会合」で企画・運営を行っています。コアメンバー会合にはアドバイザーとして有識者3名にもご参加いただき、より質の高い活動となるよう心がけています。(※2016年1月現在)

連携ネットはもともとミレニアム開発目標(MDGs)に掲げられた諸問題の解決に、NGOと企業それぞれの強みを活かし、対等な立場で協力して活動する機会を推進することを目的に作られました。MDGsに代わる新たな開発目標であるSDGsは、我々にとっても新たに目指すべき目標と言えます。我々の目指す「NGOと企業が双方の特性を認識し、資源や能力等を持ちより、対等な立場で連携する」ことをより実践に近づけていく場となるのではないかと考えています。

SDGsに対するメンバーの方々の関心はいかがでしょうか。NGOと企業側の関心事項には、重なりや違いがありますか。

teireikai
2015年12月、第40回定例会「社会的インパクトとは」を開催。
社会的インパクトを意識したNGOと企業の連携について議論した。

SDGsに対する関心は高く、チャンスと捉えているメンバーは多くいます。今までSDGsをテーマに定例会を複数開催し、また2/24のシンポジウムでも取り上げます。MDGsはどちらかというと途上国の目標であり、多くの企業は寄付などのフィランソロピー的な支援でしか関わることが出来ませんでした。しかしSDGs17のゴール・169のターゲットの中には、エネルギーや雇用、インフラなど企業が本業で取り組むことができる目標が多く掲げられています。

NGOも今までアプローチできなかった企業に対して、SDGsという共通の目標が出来たことにより、共に課題解決を目指すパートナーとなれるのではないかと期待しています。NGOも企業もSDGsを今までの活動とどう結びつけ、今後どのように活動し、また達成のために組織内外へどう認知を広めていくかを模索している段階ではないでしょうか。

symposium
2015年2月、NGO×企業連携シンポジウム「社会を巻き込む
チカラ」を開催。多様なステークホルダーを「巻き込み」ながら
連携を進めているNGOと企業の事例を紹介すると共に
(株)電通のコミュニケーションのスペシャリストから社会を
「巻き込む」メソッドもご紹介いただいた。

連携推進にあたり「連携ガイドライン」が制定されています。ガイドラインをうまくつかって連携を進める上でのポイントをお聞かせください。

連携ガイドラインは、企業とNGOの連携の基本的な考え方や手順を整理することを目的に制定しました。企業とNGOが連携相手を探す際、また連携を実践する際に、企業とNGO双方にとっての指針となることを期待しています。

本ガイドラインは、すでに他セクターと連携しながら事業を実施されている組織も、まさにこれから連携していこうとしている組織も、全ての方に読んでいただける内容となっています。連携を実施する上での手順、留意点等をわかりやすくまとめています。付録の「質の高い連携チェックリスト」をぜひご活用ください。

fujimorim藤森 みな美(ふじもりみなみ)
認定NPO法人国際協力NGOセンター(JANIC) 広報・渉外グループ
学生時代にベトナム、インドネシアの孤児院でボランティアをしたことをきっかけに、国際協力に興味を持つ。名古屋で企業へ就職した後もNGOでボランティアをしていたが、やはりNGOで働きたい!という思いが強くなり、NGOスタッフ養成講座を受講。講座の終了と同時に退職し、上京。アルバイトをしながらJANICでインターンを始める。2014年よりスタッフとなり、広報・渉外グループとして主に企業連携やファンドレイジングを担当。

関連リンク:
連携ネットメンバー
連携ネットコアメンバー/アドバイザー
2/24シンポジウム「SDGsでソーシャルイノベーションを~マルチ・ステークホルダーで実現する持続可能な社会~」
連携ガイドライン