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[サステナビリティ紀行]地方創生・地域課題とSDGsをつなぐ
2017/05/30


SDGsの課題に取り組む市民社会団体(NGO/NPO)が集い、SDGs市民社会ネットワーク(略称:SDGsジャパン)が設立されました。SDGsに関連するさまざまな団体により構成されるこのネットワークに「地方創生・地域課題」の担当として携わっている、日本NPOセンターSDGs事業プロデューサーの新田英理子さんにお話を伺いました。

SDGsジャパンは、国内外の開発・開発・人権などさまざまな課題に取り組むNGO/NPOが集い、2016年4月に任意団体として設立し、2017年に一般社団法人となったネットワーク団体と伺いました。活動の主な目的、事業の柱を教えてください。

SDGsの目的は、「誰一人取り残さない」というSDGsの理念に則り、全ての人々が、貧困がもたらす生命や生活の危機及び社会的排除から解放され、人間とし尊厳をもって生きることのできる、経済・社会・環境の三側面が統合された持続可能な成果の実現に寄与するというもので、はっきりしていますが、かなり壮大なので、時間軸をしっかりもって取り組まないとならないと思っております。主な事業の柱は4つあります。

1つは、SDGs達成のための政策提言です。2016年の伊勢志摩サミットで首相が日本もSDGsにしっかりとコミットメントをすると発言し、内閣官房に全閣僚からなるSDGs推進本部が設置されたのもSDGsジャパンの政策提言の一つの成果だと自負しています。

2つめに、SDGsの広報・普及啓発です。3つめに、市民社会と民間企業、政府、研究機関、国際機関などとの連携の強化や問題解決策の提示です。4つめはSDGs達成のための調査・研究です。

3と4はこれからまさに力を入れて取り組む事業であり、具体的な構想を練っているところです。


東海市民社会ネットワークの会合でSDGsジャパン
について説明(岐阜県大垣市)

新田さんは「地方創生・地域課題」というテーマを担当していますが、地域の人たちがSDGsを意識することに、どのような可能性を感じていますか。また、活動を進めるにあたって、どのようなことを課題だと感じていますか。

日本NPOセンターで活動をしていると、年間に国内の約半分の都道府県に実際にお邪魔して事業や議論をする機会があります。その中で私が常日頃から感じているのは、「答えはすでに現場にあり、みなさんが持っている」ということです。

私たちに何かできることがあるとすると、実は、ちょっと離れた市町村や、違う分野や、違う組織では、他のやり方でやっていて、それがうまくいっているということをお伝えすることです。

SDGsをまともにやると、包括的にならざるを得ません。地域で現場を中心に活動をしている方は、一人何役もやっている方も多く、すでに包括的だと感じることが多いので、SDGsの考え方はなじむと思います。

ただ、腹落ち感を持っていただくには、英語の頭文字3文字はかなり障壁になっていると思います。言葉の意味や中身に入る前に、「なんだそれは?」とまず警戒されます。しかし、すでにSDGsの感覚や感度をもって活動されている市民活動団体の方は沢山おられます。

私自身は、最近は、SDGsを理解してもらうのではなく、SDGsがみなさんの活動を少しでも前に進めるために活用できるなら、使ってみてくださいとお伝えしてから説明をしています。

2030年に向けて、どのようなビジョンを抱いていますか。また、地域で社会課題に取り組む人たちに向けて、知ってほしいこと、伝えたいことがあればお聞かせください。

希望を持っています。また、とても期待をしています。190以上の国の元首が採択をしました。私は前文を読んだときにとてもまっとうなことだと思いました。

目標1は「あらゆる場所のあらゆる形態の貧困を終わらせる」です。それを、多くの人たちと達成しようという目標です。とても前向きだと思います。

一方で私たちは、現実は大変厳しい状況にあるということも肌身に感じています。誰かのせいだけにするのではなく、でも自分だけで抱え込まず、自分自身の意志で取り組む人が増えること。それに尽きると思います。

私自身は、誰とでも繋がり合って、隣の他人のためにSDGsの目標に書かれていることを1つでも2つでも前に進める。そんな行動を続けることで、気がついたらSDGsが達成されている社会を目指したいと思っています。

関連サイト
SDGs市民社会ネットワーク

新田絵里子新田英理子(にったえりこ)
富山県高岡市出身。大学卒業後、民間企業で勤務、環境団体やNPO活動を経て1998年から日本NPOセンターに勤務、2014年8月から事務局長。2017年4月からはSDGs事業プロデューサーとして一般社団法人SDGs市民社会ネットワークに週に3日出向し、SDGs関連活動に取り組む。NPOの視点から、NPOとNPO、企業とNPO、行政とNPOなど、ミッション達成のための仲介を仕事としている。