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[第3回国連防災世界会議]市民防災世界会議メインイベントにて「千年後に夢をこめて」が宣言されました(3月17日)
2015/03/31


東北伝統芸能3第3回国連防災世界会議に合わせて開催されていた市民防災世界会議は、最終日の17日、東京エレクトロンホール宮城にて“セカイと学ぼう。市民のための防災会議へ!”と題したメインイベント(主催:防災からまちづくりを考える実行委員会、外務省NGO研究会、企画・運営:2015防災世界会議日本CSOネットワーク)が開催され、ゲスト対談やシンポジウム、パフォーマンスに続いて市民防災宣言が出されました。 

●パフォーマンス「東北から世界へ!」

スピーチやシンポジウムの前後には、東北各地の伝統芸能やパフォーマンスが披露されました。いずれも、東日本大震災の被災経験を乗り越えて活動してきた団体によるものでした。
・【和太鼓】伊達の黒船太鼓(宮城・石巻市雄勝町)
・【踊り】臼澤鹿子踊り・伝承館(岩手・大槌町)
・【合唱・映像・ダンス】アート・インクルージョン(宮城・仙台市)

●開会挨拶・スピーチ

Fukushima開会にあたって、被災自治体を代表し、宮城県多賀城市の菊池健次郎市長と福島県南相馬市の桜井勝延市長からそれぞれ挨拶がありました。
菊池市長からは、減災都市宣言を出し、国連防災キャンペーンの参加都市であることにも触れ、“今後も命が失われないよう最大限の努力をするために市民と協働して取り組む”と述べ、桜井市長からは、“今も原子力災害に苦しみ、市外に避難を余儀なくされている人が2万人以上もいる。家族、地域、心までバラバラにしてしまう原子力災害の恐ろしさ、深刻化している現実、被災者の絶望などを知ってほしい”と強く訴え、世界の人々と安心な世界を作っていきたいと呼びかけていました。
なお、会場では、2015防災会議日本CSOネットワーク(JCC2015)から生まれた「福島 10の教訓~原発災害から人びとを守るために~」にが配布されました。

国連防災担当また、国連事務総長特別代表・防災担当のマルガレータ・ワルストロム氏が本体会議の交渉が大詰めになる中、本イベントに駆けつけ、市民社会の積極的な参加に賞賛と激励の言葉を送り、ポスト2015防災枠組みに関する現在の交渉状況についても触れ、大枠では合意が進んでいると説明。(市民が懸念しているだろう)福島の原発問題も本体会議の中で議論されたことも強調していました。 

●国際対談「ポスト兵庫行動枠組とこれからの市民防災」

昨今、災害リスクが高まる中、国や自治体だけでなく、市民社会が積極的に防災への取組に関わることが求められてきています。その市民防災のあり方について、堂本暁子氏(JCC2015共同代表/元千葉県知事)をコーディネーターに迎え、国連防災世界会議 NGO 公式開催パートナーとの間で議論された対談のポイントを紹介します。
・政策が現場にインパクトを与えるためには、ローカルな議論が反映されるべきである。
・災害の影響が大きい子どもや高齢者、女性、障害者などを含めた(話し合いのプロセスに参加する)包摂という考えを交渉の中心に据えるべきである。
・国の都合、先進国か途上国かの議論ではなく、市民、弱者の目線で議論するべきである。
・市民が政策決定への発言力を持つためには、人材育成と味方につけるネットワークが必要がある。
・今の政府の交渉は、あらゆるグローバル課題を結び付けられていない。政府ができないなら、市民社会が各コミュニティ同士をつなげる必要がある。

●メインシンポジウム

「ボランティア元年から20年 ~地域と人がつくるレジリエンス~」
先進国、途上国、日本とアメリカ、アジア、それぞれの環境で生まれた市民防災システムと共助の在り方について、国内外から集まった災害ボランティアの育成に関わる団体からの事例紹介をもとに、それぞれが防災・減災に何ができるかを考えました。以下は、モデレーターのジャーナリスト堀氏による、“震災に対して当事者意識を持ち続けるにはどのような教育だと思うか?”の回答。

・支援活動の輪を広げること。次に自分がなにをすべきかをリアリティを現場で見て考える。(山本隆氏 ピースボート災害ボランティアセンター代表理事)
・震災の記憶を記録するメモリアルアーカイブを作る(大塚真光氏 新潟県柏崎市社会福祉協議会)
・リーダーの育成が必要。防災の準備ができる人を増やす。各セクションにリーダーを置く。(リサ・オーロフ氏 米国NPO「WCC」代表)
・リスクハザードマップを地域の人と協働で作る。(ホワイロー委員会・貯蓄有志ネットワーク) 
・防災・減災:DRRをフォーマル教育にいれていく、若者を巻き込んだ防災訓練を行う、世代間で協働し合う(ラファエルラファエル・オボンヨ ケニア出身)

●東北の若者によるスピーチ Youth Beyond Disaster共同代表 磯部良太さん

東日本大震災直前、既に大学で防災学を学ぶことを決めていた磯部さん。それを運命と感じ、生涯にわたり、防災に関わっていくと決めたことが、今の学びやユースの活動に結びついていると話し、今の若者が持つ潜在的パワー、エネルギー、行動力に注目してほしいと訴えていました。

●市民防災世界宣言

市民防災宣言ピープルズ・パビリオン、市民と協働のテーマ館、女性と防災のテーマ館の市内の3つの会場に置かれたメッセージボード。そこに寄せられた市民の声を一つにしたものを、市民防災世界宣言「千年後に夢をこめて」として、発表されました。(s.shirai)