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ポスト2015年開発目標第3回政府間会合参加報告(2) SDGs 市民対話の可能性を探って―デンマーク政府との個別会合
2015/04/8


国連グローバルコンパクトのサイドイベントで「デンマークではSDGsに関する市民対話を定期開催している」という情報を耳にして、デンマーク政府に依頼し、市民対話のあり方についてヒアリングを行いました。(2015年3月25日、国連本部にて。Maria Ana Petrera氏/Rikke Skou Melsen氏)

●CSO対話にビジネスが合流

デンマークでは、外務省がホスト役となり、毎回のOWG会合や政府間交渉の前に、SDGs/ポスト2015開発目標についてのCSO会合、ならびに9つの省庁との国内対話の2つが開設されています。先ず政府側(外務省/国連駐在大使)がNYでの討論の状況についてブリーフィングを行い、それに基づいて意見を交わすというスタイルです。

CSO会合については、CSO全体の窓口となる団体がたち、CSOと政府側との橋渡しを行っています。参加するNGOの多くは国際的活動を展開する開発関連の団体が多く、他に環境関連の団体らも参加していますが現時点では他の分野の団体はまだほとんど関わりを持っていません。

ビジネスセクターで現在SDGsに関心を持っているのは、グローバルコンパクト参画企業、サステナビリティやグローバルビジネスに関心の高い再生可能エネルギーや製薬会社が中心で、全体としての関心はまだ高いとは言えません。「CSO全体としての対話が進むべき」との政府側の方針により、ビジネスセクターとの対話は、個別にではなく、CSO会合に合流する形で開催されていることがひとつの特徴と言えます。

また、省庁間の対話については、交渉の中心を担う外務省を中心に、交渉に常に参加している環境省らが積極的に参画し、定期的なやりとりを通じて各省庁内での主流化を目指しています。

●フォーマル&インフォーマルな対話スタイル

対話は、政府側への要求をヒアリングするばかりでなく、政府側からCSOに「SDGsをどのように捉え、自らの役割をどう見出しているのか」「(ODAのあり方を含む)デンマークの果たすべき役割は何か」といった点を尋ねたり、Q&Aセッションを設けるなど、双方向型で、自由に意見を交わし合う雰囲気のもと展開されているそうです。

フォーマルな方式を取りながら硬くならずインフォーマルに率直に意見が交わせるのは、民主主義的対話の発達しているデンマークならではの「デーニッシュ・スタイル」。彼らの文化の中に「対話スタイル」が定着していることがベースにあるとのことでした。また、CSOに対して政府代表団の資格を与えることも積極的に行っているそうです。「渡航費などの経費的補助はしないけれど、参加についてはWelcome!」という姿勢を常に保っているとのこと。

●国内実施プロセスに向けて

デンマーク政府代表者
デンマーク政府代表団と筆者前列左

現在は外務省が主導権を取るプロセスですが、SDGsが採択される9月以降は、国内での実施に向けた国内対話を進める必要があります。

SDGsには福祉や格差、教育など広い課題を扱うため、今後はこれらの問題に取り組むよりCSOへのリーチが必要です。しかし、この段階の市民対話をどの省庁がリードするかは、現時点では決まっていません。

メディアによる情報発信を期待し、主要局を招いてのブリーフィングを開催していますが、一般大衆の関心を引くための具体的事例/ストーリーを示す必要性を感じているとのことでした。

今後、この市民対話がどのような発展を見せるのか引き続きフォローしたいと思います。

(m.imai)