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[サスティナビリティ紀行]消費から持続可能な社会をつくる – マルチセクターへの働きかけ –
2017/03/28

SDGsでもっとも注目の高い目標として、目標12「持続可能な消費と生産」があげられます。「買い物」という日常的な選択を通じて、この目標の達成に向けた具体的なアクションを起こそうと、2016年1月「消費から持続可能な社会をつくる市民ネットワーク」が発足しました。

全国のさまざまな専門性や経験のあるNGO・団体が連携することで、目標達成への大きなうねりをつくろうとしています。活動の狙いや計画について、事務局の下村委津子さんにお話を伺いました。

SDGs12
目標12「持続可能な消費と生産」は他のゴールとの関わりが深い

「消費から持続可能な社会をつくる市民ネットワーク」の目指すものとは何ですか?さまざまな団体が加盟していますが、ネットワークはどのようにして形成され、参画団体はどのような活動をしているのでしょう。

私たちが日々消費する様々な製品は、その生産、流通、使用、廃棄する過程で、気候変動や生物多様性の喪失など、環境に深刻な問題を引き起こしています。

また、途上国のみならず日本においても、労働者を劣悪な環境の中、長時間低賃金で働かせるなど、人権や安全を軽視した状況をつくりだしています。日本は特に、欧米に比べて家畜動物に対する配慮がなされていないことも課題です。

こうした問題を解決していくために、消費のあり方、つまり私たちが何を大切にして買うものを選ぶのか、どれだけ必要とするのかを考え行動する「持続可能な消費」を実現することを目的に活動しています。

買い物を変えることで、私たちの暮らしのあり方を変え、企業に影響を与え、環境、経済、社会を持続可能なものに変える「グリーンコンシューマー活動」を行う認定NPO法人環境市民が全国の仲間や共感・賛同する団体に呼びかけ「消費から持続可能な社会をつくる市民ネットワーク」が2016年1月1日に立ち上がりました。環境、消費者、人権、児童労働、動物の福祉、エシカルファッション、フェアトレード等、全国34の様々な専門性や経験のあるNGO・団体が参加しています。

SDGsに取り組む企業が増えています。日本企業が持続可能な消費と生産に取り組む上で、特に大切なことはなんでしょう?市民社会は、どのような働きかけをすることができるでしょうか。

企業の情報開示、情報提供は重要です。消費者が持続可能な消費と生産を意識し、それを大切にした商品を購入しようとしても十分な情報がなければ選択することができません。また、真面目に取り組む企業を応援することもできません。

消費者にできるだけ情報を提供しコミュニケーションを深めていくことがさらに必要だと考えています。そこで、企業を環境や人権、動物の福祉などの分野から市民目線で調査、格付けし、どの企業が持続可能な消費の実現に積極的なのかを明らかにする「企業のエシカル通信簿」をスタートさせました。また、持続可能な消費を実現するための商品選びに役立つ情報と商品を具体的に伝えるウェブサイト「ぐりちょ」も公開に向けて準備中です。

ワークショップでは自分たちに何ができるかも考える
ワークショップでは自分たちに何ができるかも考える

日本の市民社会や企業、行政は、このテーマにどのような貢献をすることができるでしょう?そのために、どのようなパートナーシップが必要ですか。

持続可能な消費は、原材料の調達から製品となり消費者の手に届くまで、生産・製造者だけでなくマーケティングや流通も含め、多くのステークホルダーが関わります。ですからパートナーシップによる貢献の可能性の機会が多数あるのです。

ただ、まだ十分に知られているとはいえません。そこでネットワークでは全国各地で講座を行ない、認知度を高め、共に活動をしてくれる仲間づくりを行うと同時に、開催地の自治体や企業へ働きかけ講座への参加を促進しています。これまで開催した青森、石川、長野、熊本、沖縄、東京でも行政や企業の担当者との交流を行ってきました。

まだ、SDGsの担当が決まっていない行政も多いため、環境担当部局には環境負荷がどのように削減できるのか、消費者担当者へは消費市民社会へ近づくための貢献など、私たちの目的を明確にしできるだけ具体的な誘いかけを意識しています。またESDとSDGsは関連が深いことも理解してもらえるような説明をしています。

持続可能な買い物を体験するワークショップを開催した際には、教育関係者からは消費者教育に活かしたいという声もありました。今後も多くの方々に関心をもってもらえるよう展開して行きたいと思います。

関連サイト
消費から持続可能な社会をつくる市民ネットワーク

下村委津子さん下村委津子(しもむらしづこ)
認定NPO法人環境市民理事。持続可能な消費を実現するための全国組織、「消費から持続可能な社会をつくる市民ネットワーク」メンバー。京都でNPOが運営するコミュニティ放送局でラジオ番組をボランティアメンバーと企画放送している。環境教育、ESD(持続可能な開発のための教育)にも取り組む。