[開催報告]SDGsシンポジウム SDGs時代の自治体による持続可能な地域づくり~パートナーシップ推進に向けて~
2019/02/14
本シンポジウムでは、自治体単位の持続可能な地域づくりのための事例を取り上げました。他の地域でも参考になるような情報を紹介し、時代にふさわしい社会づくりに向かう道筋を示す機会となりました。>
開催概要
○日 時:2018年12月17日(月) 14:30-17:00
○場 所:国連大学本部 1階アネックススペース
○主 催:(一社)環境パートナーシップ会議(EPC)、国連大学サステイナビリティ高等研究所(UNU-IAS)
○協 力:地球環境パートナーシッププラザ(GEOC)
○助 成:地球環境基金
○参加者:学生、NPO、自治体職員、研究者など約70名
プログラム
開会挨拶 国連大学サステイナビリティ高等研究所 渡邉綱男
1)基調講演
大津市市長 越 直美氏
「OTSU SUSTAINABLE DEVELOPMENT GOALS」
>>>資料(前半)
>>>資料(後半)
珠洲市市長 泉谷 満寿裕氏
「能登半島の先端にレジリエントな「知」と「共創」のSDGsプラットホームづくり」
>>>資料(PDF)
2)来賓挨拶
長野県副知事 中島 恵理氏
3)自治体トップインタビューレポート
○長野県 報告者:NPO地域づくり工房 中村正樹氏
○富山市 報告者:富山市環境政策課 東福光晴氏
○豊岡市 報告者:明治大学大学院 高木超氏
○仙北市 報告者:あきた地球環境会議 川上由子氏
○渋谷区 報告者:環境パートナーシップ会議 山口史子
※上記内容は、こちらから(https://sus-cso.com/interview)ご覧いただけます。
4)有識者からのコメント
国連大学サステイナビリティ高等研究所 いしかわ・かなざわオペレーティング・ユニット 事務局長 永井 三岐子氏
SDGsを日本の具体的な地域に落とし込んだ時に課題になるのは縦割りを打破すること。多様な人がつながることによって新しい価値を発見できるところが、SDGsのツールとしての大きな強みである。SDGsをグローバルに通じる共通言語、ツールとして使いこなす。SDGsによって新しく生み出された価値を、具現化、明示化し、発信していくことが大切になる。
5)パネルディスカション/フロアとの質疑応答
○モデレーター:EPC 星野智子
○パネリスト:中島氏、泉谷氏、越氏、永井氏
―SDGs時代に入って、パートナーシップ推進は、やりやすくなったか、または何か変化したことなどについてご発言ください(星野)
・SDGs時代に入り、異分野、異セクター、地域を超えたパートナーシップがしやすく、つながりやすくなった。具体例:官民連携の「諏訪湖創生ビジョン」の策定、官民ネットワーク「気候変動イニシアティブ」への参加など。(中島氏)
・大学と行政の連携が広がりつつある。人口が少ない分、顔と名前が一致するのでさまざまな意味で非常にやりやすい。SDGsラボについては、地元の商工会議所がどれだけ自分事として取り組んでいくかというところが重要。SDGs未来都市として申請した6つの事業を進めることにより、SDGsの取組につなげていく。(泉谷氏)
・パートナーシップについては良いツール。今までなかなか市民活動に入りにくかった学生なども、SDGsというと入ってくる。オンラインの活用で、学生、市民団体、海外など、世界中のどこにいてもそれぞれの取組を交換、広げることができる。(越氏)
・JC金沢はSDGsに熱心に取り組む「金沢宣言」をした。UNU-IAS OUIKは、2017年8月にJC金沢、金沢工業大学、JICA北陸と「SDGsビジネスコンソーシアム金沢」を立ち上げた。石川県にはグローバルニッチな企業があり、共通言語としてのSDGsの強みがある。(永井氏)
―質疑応答
Q:SDGsを通じてどのような珠洲市の未来図を描いているのか、珠洲市の泉谷市長に伺いたい。
A:珠洲市の最大の課題は人口減少。その地域独自の目標が18番目にあってもいい。SDGsを通して人口減少に歯止めをかけたい。(泉谷氏)
Q:さまざまなステークホルダーから相談を受けているが、どのような距離感で付き合っていけばよいのか、大津市の越市長にお考えを伺いたい。
A:SDGsの取組に限らず、多くの方を募っている。一定の審査はするが、税金を払って委託やお願いをするわけではないので、なるべく広くパートナーシップを結ぶようにしている。(越氏)
Q:社会的責任を負っていく企業になりたい。SDGsをさまざまな活動に照らし合わせ落とし込むにあたり、相談できる窓口や相手がほしい、アドバイスがほしい。
A:滋賀県では社会課題解決のために企業とつながる、滋賀SDGs×イノベーションハブを作っているが、地域によって様々ではないか。(越氏)
A:珠洲市ではSDGsラボがその役割を果たしている。(泉谷氏)
A:全国8か所に環境パートナーシップオフィス(EPO)があり、人が常駐する相談窓口。(星野)
A:国連グローバルコンパクトが作成した、企業の経営にSDGsを統合する仕方のレポートが和訳されている。CSRではなく、企業の本業を社会貢献できるように変えていく方法などが書かれている非常によくできたレポート。(永井氏)
Q:都市農村交流に力を入れている。交流地域を好きになり、通ったり移住したりする人が増えると思う。こういうことを具体的に行ったらよいのでは?質問というより提案だが。
A:長野県企業局は県営水力発電所の電気の一部を世田谷区の区立保育園に販売している。森林環境税が導入されることもあり、都市農村交流を通して中山間地域の森を守りたい。(中島氏)
A:能登国際芸術祭が開催された。アートを通してさまざまな人に関わってもらえ、定住人口、交流人口に加え、関係人口の意味でも非常に大きい力がある。(泉谷氏)
―持続可能な地域づくり、SDGs達成促進のためのパートナーシップのあり方、今後に向けての抱負を話していただきたい。(星野)
・SDGsを良いツールとしてパートナーシップを広げていきたい。さまざまな人が入ってこられるプラットフォームづくりをしたい。それぞれが全部できなくとも部分的にでも取り組めば全体としての取組となる。行政には、つなぐ役割がある。オンラインを通じて世界とつながるような取組をやっていきたい。(越氏)
・SDGsによってさまざまなことがつながっていくことが大事。(泉谷氏)
・民間の人たち、さまざまな人たちに自由に関わってもらえるプラットフォームを作っていきたい。SDGsをキーワードとしながらも、長野県に浸透しやすい表現が必要。県内外の人、自然環境も幸せになる「しあわせ信州」を作っていく。(中島氏)
・つながった結果、何をどう変えて、それをどのように評価していくのかをきちんと共有できるような形で手伝いたい。SDGsで方向転換、一発逆転のようなものに関わり、手伝いたい。(永井)
―企業や自治体にパートナーシップと言ってもらえると、NPOも一緒に手を組めるという期待感が持てる。SDGsはTransforming our world と言い、transforming(変革)のこの時代にこそ、パートナーシップが大切であると改めて感じた。(星野)