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[サステナビリティ紀行]自然そのものをアートとし地域の力を生み出す
2025/01/23

高知県黒潮町の入野海岸にある、砂浜美術館は「砂浜」そのものを美術館として見立てており、従来の建物内での展示とは異なり、広大なビーチや地域の自然資源を展示スペースとすることで自然とアートを融合させた活動を行われています。
地域の文化や自然環境を活かし、地域振興を行われている特定非営利活動法人NPO砂浜美術館の
塩崎草太さんにお話を伺いました。

夏の砂浜美術館。

夏の砂浜美術館

質問1:砂浜美術館さんの誕生ヒストリーや、アートやワークショップによる環境問題へのアプローチについて、主な活動の紹介とともに教えてください。

砂浜美術館の誕生は1989年、旧大方町(現黒潮町)の美しい砂浜を会場とする「Tシャツアート展」というイベントの話が持ちあがったことから始まりました。
これを単発のイベントにするのではなく、「私たちの町には美術館がありません。美しい砂浜が美術館です。」というコンセプトのもと、建物がない美術館として継続していくこととなりました。BGMは波の音、夜の照明は月の光、となります。Tシャツアート展をはじめとしたイベントも、開催することが目的なのではなく、このコンセプトを伝える手段と位置付けています。
この発想は、自然に恵まれた町で豊かに、気持ちよく、楽しく暮らしていくためのアイデアを創出する、ひとつの【モノの見かた】として発展していきました。

質問2:T シャツアート展をはじめ、芸術を楽しみながら地域の環境問題についても学べる場を提供されてきていますが、地域の変化や他の地域での展開広がりなどについて教えてください。

この町には「何もない」という意識が住民の方々の中には昔からありましたが、今ではTシャツアート展の開催前に、多くの方々が自然と砂浜の清掃に参加し、県外からの多くの来訪者をお迎えする機運が高まってくるようになりました。
また、ひらひらフレンドシップと いう仕組みを作り、砂浜美術館の考え方に共感していただいた他県でもTシャツアート展は開催され、自分の町を楽しむ仲間が増えています。
さらに、教育機関では総合学習やふるさと教育において、海や砂浜など地域資源に触れ、自然から学ぶことの大切さに関する取組を展開しています。

質問3:これまで自治体や教育委員会、企業・団体などの組織との連携があったかと思います。地元の地域活性と自然保護の両立に向けたポイントや、各ステークホルダーとのパートナーシップに関して、普段から思うことや心掛けていることなどについて教えてください。

地域活性と自然保護のどちらかだけではなく、【考え方】を大切にすることで、自分たちの町を誇りに思うきっかけを作り、長さ4キロの砂浜が美術館であるという共通認識を持つことで、多くの方との関係づくりできるのではないかと考えています。

Tシャツアート展

Tシャツアート展

質問4:現在行われているイベントや、これから行う予定のものなど、皆さんに呼びかけたいことがあれば是非教えてください。

今年も5月1日~6日まで第37回Tシャツアート展が開催されます。Tシャツアート展では、全国から集まった絵や写真をTシャツにプリントして展示します。
これに先駆けて1/24~3月上旬までGEOCでTシャツアート展の展示を開催中ですので是非ご覧ください。
まだ参加したことのないみなさん、みんなでひらひらの風景創りませんか?

 

プロフィール:塩崎草太(しおざきそうた)
塩崎草太兵庫県出身。2016年に地域おこし協力隊として黒潮町へ。スポーツツーリズムの担当を経てNPO砂浜美術館に勤務。現在は観光部としてTシャツアート展などの砂浜美術館の考え方を伝えるイベント(シーサイドギャラリー)や大方ホエールウォッチングを担当。

■参考サイト
▼特定非営利活動法人NPO砂浜美術館
https://sunabi.com/

▼GEOCでも展示中です!
https://www.geoc.jp/activity/international/2664980.html