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[サステナビリティ紀行]「持続可能な開発のためのボランティア国際年」を迎えて
2026/01/27

国連総会は、2026年を「持続可能な開発のためのボランティア国際年(International Volunteer Year for Sustainable Development)」と定めています。これは、2001年の「国際ボランティア年(IYV)」以来25年ぶりのできことで、日本政府も推進に尽力しました。「国際ボランティア・デー(IVD)」である2025年12月5日には、国連本部で開会イベントも開催されました。

このようにボランティア活動への注目が集まる中、今回は、国連ボランティア計画(UNV)東京駐在事務所の櫻井亜沙子さんに、持続可能な開発とボランティア活動との関係などについてお話を伺いました。

 

質問1:UNVは国連組織の一つとして国際的なボランティア活動を取りまとめていると伺っています。UNVの国内外での活動について教えてください。

国連ボランティア計画(UNV)は、発展途上国における開発支援や平和構築活動などに貢献する意思のある国連ボランティアを世界中から募り、主に各国連機関に派遣することで、ボランティアリズムを通じて世界の平和と開発に貢献しています。

日本はUNVの創設以来のパートナーであり、毎年多くの日本人国連ボランティアの派遣を支援し、国内でのボランティア精神をUNVとともに促進しています。日本人国連ボランティアは世界各地で平和構築や開発、人道支援に貢献し、世界で活躍するグローバル人材へと成長しています。UNVは国連ボランティア派遣はもちろん、緊急人道支援、デジタル・イノベーション、ボランティアリズムの調査研究、多様性と包括支援など様々なテーマに沿った活動を実施しています。

国連ボランティア計画2024年年次報告から、多様なボランティアの活動数について

国連ボランティア計画2024年年次報告から、多様なボランティアの活動数について

質問2:25年ぶりとなる今年のボランティア国際年の正式名称は「持続可能な開発のためのボランティア国際年」となりました。今回「持続可能な開発のためのボランティア国際年」と決定された背景や、持続可能な開発やSDGsの達成などの文脈におけるボランティア活動の役割や重要性について教えてください。

2026年が「ボランティア国際年」と定められた背景には、世界中で多くの人が「より良い社会のために何かをしたい」という想いを持ち、行動を起こしているという事実があります。パンデミックや災害時の対応から、平和構築、コミュニティ開発、地域での助け合いなど、どんなレベルや場面においてもボランティアは大抵一番先に現場に入り、また最後まで現場に残ります。SDGsを達成し、「誰一人取り残さない」社会を実現するためには、ボランティアはかかせない存在であり重要なアクターであるととらえられています。ボランティアは決して特別な人だけが実施するものではなく、国籍やジェンダー、子どもから大人、障がいのあるなしにかかわらず誰もが参加できるものです。そして国際的な活動に限定するものでもなく、グループでも個人でも、ごみ拾いからデジタルプラットフォームでの専門技術の提供まで、どんな形でもあり得ます。

2026年のボランティア国際年は、ボランティア活動を善意として称えるだけでなく、持続可能な開発を前に進める力として、社会全体で支え、育てていくことを確認する年だと言えるでしょう。
 

質問3:「持続可能な開発のためのボランティア国際年」を迎えて、UNVとして現在計画している活動やキャンペーン、または今後注目すべきことがありましたら教えてください。

UNVでは、ボランティア国際年を「立ち止まって振り返る年」であると同時に「次の行動へ踏み出す年」と位置付けています。世界各地で活動するボランティアが、SDGsや2030アジェンダの実現に向けどのように貢献してきたのか、その声や経験を救い上げ、共有していくことを大切にしています。特に2026年のボランティア国際年で重視しているのは、多様な人々の参加です。若者が社会に参画し、学びながら将来の可能性を広げていくこと、シニア世代がこれまでの経験を生かし続けること、障がいのある人や移民・難民の方々が、対等な担い手として参加できること。こうした一人ひとりの参加が、社会の包摂性を高めていきます。

日本においても、日本人国連ボランティアの経験や想いを社会と共有し、次の世代につなげていく取組を進めていきます。ボランティア国際年が、多くの人にとって「自分にもできることがある」と感じるきっかけになることを願っています。

ボランティア国際年

ボランティア国際年

質問4:SDGsの達成や持続可能な社会の実現に向けては、多くの人々の参加やパートナーシップが求められると思います。参加やパートナーシップにおいて重要だと思うことについて教えてください。

ボランティアやUNVの活動は特別でいろいろと準備がいる敷居が高いものと思われがちですが、本来は誰もが関われる身近な行動だと感じています。大切なのは、「参加してみたい」という気持ちと、「では参加してみようかな」という一歩を踏み出す勇気です。一人ひとりの小さな行動と関わりが、人と人をつなぎ、信頼あるパートナーシップを育てます。ボランティア国際年をきっかけに、立場や経験にとらわれず、多くの方にボランティアに参加していただき、この年を一緒に盛り上げていけたら嬉しいです。

 
プロフィール:櫻井亜沙子(さくらいあさこ)
櫻井亜沙子UNV東京駐在事務所 代表・パートナーシップ構築専門官

UNDPアラブ局本部、UNDPジブチや中央アフリカ共和国事務所、UNVニューヨーク事務所の勤務を経て現職。国連ボランティアとしてUNESCOのケニア事務所、NGO職員としてハイチで勤務した経験もある。英国ロンドン大学教育研究院にて教育開発学修士号を取得。