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[サステナビリティ紀行]NPOのSDGs全国調査~SDGsの先を見据え、NPOの強みを活かしてつながるために~
2024/03/26

少子高齢化、経済格差、過疎化…。課題が複雑化する昨今、NPO・市民活動団体は、これから誰とどのように繋がっていくのでしょう?どう動いていけばよいのでしょうか? SDGs市民社会ネットワークの地域ユニットが中心となり、NPOのSDGs全国調査が行われ、1200を超える団体からの声が集まりました。本プロジェクトの委員長の毛利葉さんにお話を伺いました。

質問1:地域のNPOの支援活動を長くなさっているとのことですが、まず団体概要や特徴、最近取り組んでいる主な活動などを教えてください。

とっとり県民活動活性化センターは、ボランティア・地域づくり・NPO活動の支援と多様な主体の連携・協働のよる持続可能な地域社会づくりを目的に、2014年に鳥取県と市町村の拠出で設立されました。現在、県・市町村、企業、大学、地域の支援組織等との対話をすすめ、地域の課題解決や価値創造を進める活動団体に対するアウトリーチ型支援や地域・テーマのネットワーク等をつなぐ県域の重層的なプラットフォーム形成に取り組んでいます。

画像1本プロジェクトの推進委員会

プロジェクト推進委員会

質問2:今回のNPOのSDGs全国調査というものはどのような調査だったのでしょうか。調査の結果を概要がどのようなものだったか、SDGsとNPOについて、特徴的な結果や現象、感想があればお聞かせください。

社会課題の最前線で当事者に寄り添い、その解決にあたっているNPOの活動や課題を、SDGsの視点で明らかにした全国初の調査でした。3割の団体が「SDGsを行っていない」と回答し、“表面的な取組みになりがち”との回答も半分近くありましたが、多くの団体がSDGsの本質を捉え、熱量高い多くの自由記述からは、微妙な距離感や揺らぎを感じながらもSDGsに誠実に向き合うNPOの姿を垣間見ることができました。

画像2本調査の報告フォーラムの概要

報告フォーラムの概要

質問3:SDGs達成に向けた取組みに関しては、地域の支援センターの視点からはどのような期待や課題があるとお考えですか?調査の結果から読み取れたことや、発見したポイントやヒントなど、ありましたらご紹介ください。

現場のNPOは「人権」への感度が高く、貧困家庭、障がい者、生活困窮者、被災者、暴力の被害者、少数民族、在日外国人等が抱える複合的で多様な問題の解決にあたっています。また、高齢化、空き家、防災、再エネといった「地域」が抱える課題を自身の問題として受け止め、〈子育て支援から地域コミュニティ支援へ〉〈若者支援から多様な世代の福祉拠点へ〉と活動を柔軟に変化・発展させています。小さい存在だからこそ企業、行政、学校等に「つながり」を求め、結果的に課題解決の結節点(ハブ)になっています。

質問4:各地域のNPOがさまざまなステークホルダーと取り組むことが今後も増えてくるかと思います。ステークホルダーとのパートナーシップの重要性や課題について、普段から思うことや心掛けていることなどについて教えてください。

小人口地域では循環する資金も少なく、地域を支える人材が限られているので、NPOが何か「コト」を起こそうとする時には、自治体や企業や地域組織など様々なステークホルダーとの関係づくり・連携がこれまでも必要でした。ただ、パートナーシップを戦略的に進めているNPOは、企業・自治体に比べて少ないと感じています。また、中間支援の立場からは、SDGs、災害支援、生業といった、分野やセクターを超えた、横断的で誰もが当事者として参加できるテーマで「つながる」機会をもつことに心がけています。

画像3本調査の報告フォーラム(2024年2月27日)開会前の様子

報告フォーラムの様子

参考サイト:
▼とっとり県民活動活性化センター
https://tottori-katsu.net/
▼SDGs市民社会ネットワーク
https://www.sdgs-japan.net/
▼同地域ユニット FB
https://www.facebook.com/local.sdgs.japan/

 

プロフィール:毛利葉(もうり よう)
毛利葉公益財団法人とっとり県民活動活性化センター理事長
「SDGs達成に向けたNPOのための調査研究と研修開発事業」プロジェクト推進委員会委員長
ひろしまNPOセンター勤務を経て、現在鳥取県内のSDGsの推進等に取り組んでいる。