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[サステナビリティ紀行]フェアなお金の流れをつくる -Fair Finance Guide-
2015/03/25


語り手:A SEED JAPAN エコ貯金プロジェクト ボランティアスタッフ 土谷和之さん

●Fair Finance Guideとはどういったものでしょうか。その背景としくみを教えてください。

エコ貯金ph1わたしたちがお金を預けている銀行は、さまざまな企業・事業にお金を投融資しています。その中には、残念ながら、環境破壊、人権、貧困などの社会問題に関与している企業・事業が含まれている場合もあります。

そこで、Fair Finance Guide では、大手銀行の投融資方針の社会性を13テーマ別・各テーマ10点満点で「格付け」し、ウェブサイトで公開しています。このウェブサイトにより、わたしたち市民はどの銀行がよりフェアな方針を掲げているかを知ることができます。また、ウェブサイトを通じて銀行へ「もっと方針を改善してほしい」というメッセージを送付したり、口座の預け替えのための情報を得ることもできます。(右写真;銀行の評価方法等を決めるための国際ミーティング)

Fair Finance Guideは、2009年にオランダでスタートした「Bankwizer」というウェブサイトが元となっています。オランダではこの5年間で約402,000人がFair Finance Guideのサイトを訪問し、約17,000人が銀行に方針改善を求めるメッセージを送信。その結果、オランダ国内の銀行の投融資方針は「兵器産業」「人権」「気候変動」等のテーマにおいて160以上の項目で改善しました。こうしたオランダでの成功を踏まえ、現在では日本、オランダ、フランス、ベルギー、スウェーデン、ブラジル、インドネシアの7ヶ国が参加する世界的なキャンペーンにまで発展しています。

●日本の金融機関について、どう評価しますか。

現在、日本では大手5銀行(三菱UFJFG、三井住友FG、みずほFG、りそなHD、三井住友トラストHD)を評価していますが、合計点で最高のみずほFGでも130点満点中29点と、けっして高い水準ではありません。

日本の銀行は環境融資等について積極的な取り組みを見せている部分もあるのですが、それが投融資全体の方針に反映されていないため、どうしてもFair Finance Guideでの点数は低くなってしまうのです。海外の銀行では、投融資全体について社会的な方針を掲げている銀行も多く(スウェーデンのSEB銀行、オランダのトリオドス銀行など)、これらの銀行に対する評価は相対的に高くなっています。

●日本でこういった取り組みが広がるためには、どんなことが必要だと感じますか。

私たち1人1人が、お金を預けっぱなしにするのではなく、その使われ方に意識を払い、銀行の取り組みに関心を寄せることだと思います。海外でも、銀行が動くキッカケの多くは「市民からのプレッシャー」です。

●SDGsや持続可能な未来に向けて、Financeという課題に対し、私たち日本人はどのようなことを知り、考え、行動することが必要でしょうか。

エコ貯金ph2金融はとにかく難しいというイメージを持たれがちですが、一方で預貯金を全くしていないという人は少なく、とても身近なテーマであります。ぜひFair Finance Guideのサイトを入り口にして、金融の仕組みに関心を寄せて頂ければと思います。(右写真;昨年12月にオープンした公式Webサイトの記念セミナー)

参考:
Fair Finance Guide 日本版のサイト
Fair Finance Guide facebookページ



tsuchiyaPH土谷和之 (つちや かずゆき)
1977年生まれ。某民間シンクタンクに勤務する傍ら、2004年から国際青年環境NGO A SEED JAPANのボランティアとして活動を始める。「戦争や環境破壊に使われない、フェアなお金の流れをつくるために金融機関を選ぶ」という新しい貯金スタイル=「エコ貯金」を推進するプロジェクトを担当し、キャンペーン活動や金融機関への提言、執筆活動、ソーシャルファイナンスに関するイベントの企画等を実践している。