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[開催報告]サステナビリティ円卓会議~日本における持続可能な開発目標を考える~
2015/11/7

20151014entaku2015年10月14日、今年9月25日に国連で採択されたSDGs(持続可能な開発目標)について理解を深め、今後国内でどのような政策や活動が期待されているか、各地での取り組みにどのような関係が生じるか、持続可能な地域づくりに向けた意見交換のための会議(主催:NNネット、一般社団法人環境パートナーシップ会議(EPC))が地球環境パートナーシッププラザで開催されました。(参加者計約40名のうち、企業・自治体・研究者・学生は数名ずつ、約半数はNPO/NGO関係者)

各ステークホルダーから共通して聞かれた意見のポイント

・マルチステークホルダーで、同じ方向を向いて取り組んでいく。
・2つ以上の要素を組合せて取り組むケースが多い。(例:女性と教育)
・名称にこだわらず、SDGsをチェックリストとして利用し、既存の取り組み・計画を広げていく。

各ステークホルダーからは、以下のような報告・意見が聞かれました。

国連総会報告(外務省)

mofa_tamura外務省地球規模課題総括課課長の田村政美氏が、「持続可能な開発のための2030アジェンダ」(国連で採択された2016年から2030年までの国際開発目標、持続可能な開発目標(SDGs)を掲げる)が、(1)なぜ作られたのか、(2)どのようにして作られたのか、(3)これから何をするのか、を説明。
(1) 前身はMDGs(ミレニアム開発目標)。国際的な環境の変化(環境・気候変動問題、格差の拡大、アクターの多様化)に対応すべく、MDGsを深堀りし、先進国も取り組む新たな課題(持続可能性)としてSDGsを作成。
(2) 国連加盟国193カ国の交渉(今年1月~)
(3) 全ての国で実施しその進捗を計り、国連で報告していく。そのための目標(インディケータ)が2016年3月に決定される予定。
※日本の安倍総理が発言した内容>>>資料icon_1r_32
※2030アジェンダ>>>資料icon_1r_32

・SDGs実施のハードルは低くない(ファイナンスの問題、各国でのモニタリングが必要)。新しいグローバル・パートナーシップ(先進国も途上国も、政府も企業も市民団体も)が必要とされる。
・NYで、行政、市民社会、企業、アカデミアの4者が揃って共同記者会見できたことが、一番の収穫かもしれない。各者で意見は異なるが、向かっている方向は一緒。オールジャパンとして発信できた。これからも2030アジェンダを実現する上で、各者から知見・現場の声を色々教えていただき、一緒に取り組んでいきたい。

質疑応答
:現在世界を覆っている紛争は、地球温暖化・環境破壊によるところが大きいが、そういった根源的な議論はサミットでされたのか?(NPOより)
:2030アジェンダの5Pのうち1つのPはPeaceであり、ゴール16はJusticeについてであり、一般論としては入っている。2030アジェンダ自体、紛争当事国も含めた193ヶ国が集まって採択されたものであり、国連総会、一般討論演説など、全体の場では議論されている。紛争や軍事の問題は個別でなければどうしても解決できず、国連にはいろんな限界があるが、その中でやっていく。

SDGs実施に向けた国内外の動きについて(環境省)

moe_segawa環境省国際連携課課長瀬川恵子氏が、環境省の取り組みについて説明。
・SDGsの17の目標のうち、少なくとも12が環境関連。
・国内の環境関連施策の点検と展開(例:環境基本計画への反映)。
・環境関連の国際展開・国際貢献
・各国首脳スピーチ:SDGsの実施は当然、2つ以上の要素を組合せる。
・2016年ハイレベル会合:G7環境大臣サミット、伊勢志摩サミットなど。
・各ステークホルダーとの相談、実施手段は多種多様、実施者の創意工夫。

質疑応答
Q1:2つ以上の要素の組合せ「環境と教育」、国連総会で話題に出たか、環境省ではどのような位置づけか?(企業より)
A1:「教育」について、今回のNYでもサイドイベントが結構行われていた。様々なものを「トランスフォーム」させていくためには、女性・子供だけでなく、シニア世代についても「習う」ことが必要。日本は昨年、ESDという形で大きく盛り上がりをみせたが、中々継続できていないという反省がある。

Q2:スピード感、規模感も含め、「トランスフォーム」を促すような新しい施策を実現する可能性はあるか?(NPOより)
A2:環境省の個別施策は、個別ターゲットからそれほど外れていない。気候変動やエネルギー問題の目標達成のために、スピードアップしていきたい。温室ガスを2030年度までに26%削減するという目標を達成するために、直接削減を確実に進め、足りない部分は排出量取引を。

ステークホルダー会議(コーディネーター:NNネット今田克司氏、EPC星野智子)

各ステークホルダーの代表より
【自治体】環境自治体会議環境政策研究所所長 中口毅博氏
SDGs達成に向けて今後国内でどのように取組みをしていくかと、1992年のリオ・サミットを機に作成されたローカルアジェンダからの教訓を事例に基づいて説明。>>>資料icon_1r_32

・アジェンダ2030のローカル版は必要だと思うが、名称にこだわらなくてもよく、中身が達成されればよい。指標は使用する。
・ローカルアジェンダ2030を自治体に作ってもらうのではなく、既存の計画(地方創生総合戦略、環境基本計画、地域福祉計画、男女共同参画計画、子育て支援計画など)の中に、SDGsの考え方、具体的な取り組みを入れていく運動にしていきたい。モデルになるような自治体が出てきた段階で、年に1回全国大会をやりたい。全国から、区議会議長、議員、市民団体、労働団体など様々な人が集まった場で議論し、モデルを参考・ヒントにして広めていきたい。
・既存の計画にSDGsの考え方を入れていく時に大切なのはプロセス。地域の課題から出発し、グローバルスタンダードであるSDGsと結びついていくのが理想。その際にユースの力は大きい。ユースだけでなく子供たち(小中高大学生)が、リアルタイムで地域を作っていくことができるという考え方で、彼らの知恵・アイディアを具体的に実現するための支援の仕組みを計画の中に入れていく。つまり、ESDを学校教育の場にとどめるのではなく、地域全体で行っていく。そのプロセスを経て、既存の計画をリバイスしていく。その成果を是非、全国大会で広げたい。

【NGO】日本NPOセンター/NNネット 新田英理子氏
・SDGsとして、マルチステークホルダープロセスの中でNPO/NGOがどういう役割をしていくかということを、日々議論している。NPO/NGOは、市民一人一人の言葉を政府や様々な他セクターと対話する機能を促進させることが重要。市民社会全体がネットワークを向上させ、SDGs全体を盛り上げていく。SDGsを共通言語にする。
・地域勉強会を行おうとしている。全国に会員がいるので、共感と参加をどう呼べるかということが一番重要だと思っている。既に皆が取り組んでいることであり、世界の市民社会とも話せる(SDGsという)共通言語ができた。SDGsという言葉にこだわるというよりは、中身を広げていきたい

【NGO】CSOネットワーク/日本NPOセンター 今田克司氏
・「動く→動かす」というネットワークの代表もやっており、国際協力に取り組んでいる。SDGsにおいて、海外の活動から国内の活動へ、国内の活動から海外の活動へどうリンクさせるか、両方の視線・ベクトルがNPO/NGOにはある。

【労働組合】連合 国際局長 鈴木宏二氏
10/8~9に、連合を含めた世界の労働組合が加盟したITUCの運営委員会にて、SDGsの中で労働組合として優先順位の高いものが取り上げられた。世界共通の課題であると共に、各国がそれぞれの状況下で取り組みを展開する元となるものとして議論が行われた。>>>資料icon_1r_32

・連合、労働組合としては、ポスト2015の話が始まった時から、「decent work for all」の実現が非常に大事であり、17全てのゴールにつながっていくベースになるものだと考えている。例えば2つの要素「貧困とdecent work」、「社会保障の床」(日本では「セイフティ・ネットワーク」)をしっかり作ることと、decent workを実現することが、全てのことにつながっていく。
・国内でも格差が非常に広がっている。連合は47都道府県に地方連合があり、さらに260の地域協議会があり、全てに専従をおけるようになり、地域創生会議にもなるべく入るようにしている。国際的な問題は中々地方・地域には伝わりにくいが、労働組合が地域で顔が見える運動をやるためには、こういう国際的な課題に積極的に関わっていくことは非常に大事。他セクターと地方をつなぐなど、一緒に取り組んでいきたい。
・日本国内もそうだが、特に途上国での様々な問題を解決していくには、教育を通じた人材育成が必要。労働界でも人材不足という問題が出ており、労働組合の立場としても参加を呼びかけていき、少しずつでも関心を持つ人を増やしていきたい。

質疑応答
:ITUCのプライオリティの中で、これから連合として、日本の中で取り組もうとしていること、ここからまた絞った強化項目を連合の中で発表したりすることはあるのか?子供の権利に関心があり、子供の貧困、国内での格差、次世代への貧困の連鎖が非常に懸念されており、連合だけではなく様々なところで取り組みが進むとよいと思っている。(児童労働問題に取り組んでいるNPOより)
:国際会議でも、国内でも、様々な貧困関係の話が取り上げられており、子供の貧困に関わる部分など地方ベースで取り組んでいる。関連団体による奨学金の取り組みなど結構幅広く行われているので、どういう部分が欠けているのか、新たに必要なものは何かなど、既存の取り組みを再確認していきたい。

【ユース】慶應義塾大学博士課程1年 カン・ソンウ 氏
・韓国出身で、7年半くらい日本で勉強している。主な感心・活動分野は地球環境問題全体で、気候変動・生物多様性などの課題を中心として、環境団体・ユースの団体に関わったり、団体を自ら立ち上げたりしている。環境問題は環境だけでは解決できないので、他の分野に興味を持って活動しているユースとも連携して議論している。
・SDGsは、2030年に持続可能な社会を実現したらどうなる、という未来像のようなもの。ユースがこれから15年間、人生の中で一番輝く時期をどう過ごすか、ということに直結する課題。
・日本国内で現在、若者たちはそれぞれに様々な活動をしているが、それらはSDGsの文脈ときちんとつながっているとは限らない。ユースの特徴は、活動に関わっているのはほとんど学生で、若手社会人は少ない。活動・つきあいがどうしても個人ベースとなり、卒業するとネットワークが切れることがしばしば。また、特にリーマンショック以降、若者にとっては就職活動・会社で働くことが非常に重要になり、社会問題に関心を持たないことがここ数年で非常に増えていると感じる。
・市民社会としてネットワークを強化すること、ユースとしてもそうした基盤を作っていくことが必要。2030アジェンダは「変革」という言葉がキー。2030年までにやるべきことを積み重ねていく。その中心的役割を担うのはユースでは。
・SDGsの17の目標は、持続可能な社会を実現するために最低限考えないといけないこと。例えば、現在のエネルギー政策はSDGsに沿ってできているかについて、大学のゼミなどで学生たちと少し議論するだけでも30以上の課題が出てくる。こういったことを若者の間で共有しつつ、私たちの未来に直結するような政策が今どうなっているかを議論する際に、自分の権利が獲得できているかを確認するチェックリストみたいな形でSDGsを使えるのではないかと思う。

>>>カン氏がまとめた「今後のSDGs関連のイベント情報」はこちらからご覧ください。

◆会場の参加者より

【研究者】(法律が専門)
・環境分野の「グリーンアクセスプロジェクト」を進めている中で関心があるのは、SDGsの目標16「平和で公正な社会」。複数の要素を組み合わせないと誰もやらない懸念もあるし、縦割りになるとできないことを、この円卓会議のような場で各ステークホルダーが一緒にやっていければよい。オーフス条約(環境分野の市民参画条約)やUNEPが採択したバリガイドラインといった仕組みを、環境分野だけでなく横軸で取り入れていくことが、SDGsの目標16において非常に重要だと思う。

【企業】(総合メーカー)
・東日本大震災の被災地である釜石市を、この3年間興味を持って見ている。よそ者、若者、シニア、行政が協力して、我がこととして復興に取り組んでいる。学生がトレーニングを積むことは良いことであり、卒業後に自分が入ったコミュニティーや会社で、我がことに結び付けてトレーニングを生かして次のステップに向かって進んでいくと未来が見えてくる。

◆主催者より

・SDGsには様々な課題が入っているため、すばらしい反面、かなり戦略性を持って取り組まないと結果につながっていかない。2016年1月から正式に始動し、15年間にわたって世界一致の目標となるので、マルチステークホルダーの仕組みを上手に利用して取り組んでいければよい。(NNネット今田氏)

・SDGsに関する様々なセミナーが今後行われる予定。EPCでは年明けに三重県でも行う予定で、GEOCと公害資料館が連携し、日本の知見を海外へということで、四日市の公害問題とSDGsを一緒に考えてみようという試み。
EPCを含む複数のNPOで作った冊子「私たちが目指す世界」(会場で配布)も、是非子供たちと一緒に読んでみてください。(EPC星野)