[開催報告]サステナビリティ円卓会議~北海道における持続可能な発展を考える~
2015/12/3
2015年11月19日、北海道札幌市において、多様な主体の方に集まっていただき、持続可能な北海道のあり方について、話し合う意見交換のための会議(主催:NNネット、一般社団法人環境パートナーシップ会議)が開催されました。
開催概要
[日 時]平成27年11月19日(木)14:30~17:00
[会 場]札幌エルプラザ公共4施設2階 環境研修室
[主 催]一般社団法人 環境パートナーシップ会議(EPC)
社会的責任向上のためのNPO/NGOネットワーク(NNネット)
[協 力]NPO推進北海道会議、北海道NPOサポートセンター、EPO北海道
[助 成]地球環境基金
プログラム
(1)開会・趣旨説明
新田英理子氏(NNネット/日本NPOセンター)
(2)話題提供:持続可能な地域づくりに向けた北海道の課題~人口問題からの考察~
北海道総合研究調査会 切通堅太郎氏
(3)ディスカッション:持続可能な北海道の目標について考える
NPO:さっぽろ自由学校「遊」事務局長 小泉雅弘氏
労働者:連合北海道 総合政策局長 坪田伸一氏
消費者:NPO法人北海道食の自給ネットワーク 事務局長 大熊久美子氏
ユース:NPO法人ezorock ボランティアコーディネーター 高橋苗七子氏
コーディネーター:星野智子(環境パートナーシップ会議)
各ステークホルダーから聞かれた意見のポイント
・時間的に長くとらえること。100年先を見る。
・国、政府の動き、政策との連動性が影響する。
・働くことを軸とした安心社会 Decent work
・北海道の強みは第一次産業 自然エネルギーの可能性がある。
・就職するだけでなく、産業を生み出そう。
・毎日の食の選び方で環境も経済も変わる 将来のメリットを考えて。
・地域で人材が育ち、担い手になるような多様な社会経験を積む。
・コミュニティがあればお金がなくても暮らせるライフスタイルを。
・誰もが安心して生きていける社会が持続可能な社会(労働、貧困問題)
・小さな経済活動でも地域が成り立つ=持続可能性の要因。
・誰とつながるか、が重要。日本の市民社会は力をつけないと、対等に他のステークホルダーとうまく連携はできない。
・持続可能な・・と提唱してなくても自然体で連携している。共通な基盤に立っている団体どうしがいつでも連絡取れるに意識していこう
・マルチステークホルダープロセスもSDGsも手段の一つ。
・地域とは? 北海道は移民の地、外のものを受け入れる素地がある。
話題提供
北海道総合研究調査会 切通堅太郎氏
「持続可能な地域づくりに向けた北海道の課題~人口問題からの考察~」
2008年をピークに日本では人口減少が始まり、老年人口が増えている。北海道では人口流出、特に男性の人口が減っており、特に札幌市では未婚女性が多く、出生率も落ちている。
持続可能性のために、各自治体でも取組みをしているが、ますます深刻になっている。各地で雇用創出などによって「そこに暮らしていける“安心感”」を作らなくてはならないが、現実では生活困窮者が増えているなど、課題がある。
ディスカッション
一般社団法人環境パートナーシップ会議(EPC)星野智子
「持続可能な開発目標(SDGs)」についての解説と、それに対する日本の市民社会がどう動いたら政策提言や具体的なアクションにつなげられるか、や他団体・他セクターとの協力関係の構図について話題提供。
【NGO】さっぽろ自由学校「遊」 小泉雅弘氏
時間の感覚を長くとらえたほうがいい、10年20年先ではなく、100年先を見ること。北海道はアイヌの地で、日本の一部になったのはほんの150年前。それまでは人口が少なかった。
【労働者】連合北海道 坪田伸一氏
SDGsは地域で暮らすための考え方の基本ととらえている。現在の雇用、人々の働く環境は持続可能とは言えない。目標8にある“Decent work”を軸とした安心社会をつくる必要がある。
【消費者】NPO法人北海道食の自給ネットワーク 大熊久美子氏
北海道の強みは、第一次産業。食も自然エネルギーもまかなえる規模である。
食の選び方で環境が変わるので私たちの毎日の暮らし方が重要。たくさんの食料を輸入している一方で食品ロスが多いことも問題である。
誰もが生きやすい社会こそ、持続可能な地域である。
【ユース】NPO法人ezorock 高橋苗七子氏
北海道に戻ってきても職がない。生活が厳しく結婚もしなくなる。NPOでは地域の担い手になれるような社会活動ができる場を提供している。タダで生きる術や知恵を授けてくれるようなコミュニティがあれば、お金がそれほどなくても暮らしていけるようになる。
前半に雇用や暮らしの不安定さへの懸念について共有され、暮らしに対する価値観が変わることなどについて話し合った後、後半では、今後の協働やパートナーシップについて議論しました。
【小泉氏】
誰とつながるべきか。日本の市民社会はまだ弱い。全体でもっと連帯して取り組まないといい動きも効果がよく作用しないのではないかと思う。テーマをつなげるのは大事だが、同時に力をつけないと、対等な立場に立って活動できない。
【坪田氏】
労働者の福祉関係団体とは協働して取り組んでいる。地域で働くことで自分も地域も豊かになることを目指す。
【大熊氏】
イベントなどではezorockなど地域の団体と連携している。子ども向けの環境教育は若い人が行うと共感されてより効果的。
【高橋氏】
いろいろな団体とつながりながら活動できている。雇用創出の意味でも産業に関わる人・団体とつながっていきたい。
【新田氏】
多団体と協働する“マルチステークホルダープロセス”やパートナーシップが目的化しがちだが、そうではなく、必要に応じた協力体制を作っていくことが大事。
【フロアからの意見】
北海道らしさとは何か。移民の地でできる持続性を考えたい。
【主催者より】
SDGsは地域課題を発見・解決するきっかけになるかと思う。地域における重要課題は何か? 課題は地域内の関係者と共有できているか? 課題の解決策や目標は設定されているか? など問いかけ、役割分担や協力体制の作り方などについて話し合っていけたら良いのではと思う。