[開催報告]京都議定書誕生20周年記念講演会・SDGsシンポジウム
2018/03/7
1997年10月に京都市のローカルアジェンダ21として「京のアジェンダ21」が策定され、同年12月に京都で開かれた第3回気候変動枠組条約締約国会議(COP3)において「京都議定書」が採択されました。2017年はそれらの決定から20周年となる節目の年でした。
EPCは京都のNPO「京のアジェンダ21フォーラム」と協力して、気候変動交渉を取り巻くここ20年の動向に関する講演会と、2030年に向けて新たに国連で採択された「持続可能な開発目標(SDGs)」について、多様なステークホルダーにおける取組の現状共有と今後の連携について考えるセミナーを開催いたしました。
開催概要
○日時:2017年12月3日(日) 10:30~17:00
○場所:同志社大学志高館SK110教室
○主催:(一社)環境パートナーシップ会議(EPC)、京のアジェンダ21フォーラム
○共催:同志社大学ソーシャル・ウェルネス研究センター
○協力:(一社)SDGs市民社会ネットワーク、Climate Youth Japan
○助成:地球環境基金
プログラム
京都議定書誕生20周年記念講演会「京都議定書誕生からの20年とこれから」
○講演「京都議定書誕生からの20年とこれから」
講師:NPO法人気候ネットワーク代表 浅岡美恵氏
>>>資料(PDF)
○ユースによるCOP23報告
報告:Climate Youth Japan
高橋美佐紀氏(公立鳥取環境大学環境学部環境学科4年、COP派遣事業統括)
塚本悠平氏(関西大学文学部環境倫理学専攻4年、COP派遣事業副統括)
>>>資料(PDF)
SDGsシンポジウム「各ステークホルダーによるSDGs最前線とディスカッション」
○講演「企業戦略としての持続可能性」
講師:株式会社伊藤園 CSR推進部長 笹谷秀光氏
>>>資料(PDF)
○各ステークホルダーによるSDGs最前線
(1)「消費から持続可能な社会をつくる市民ネットワーク」の活動と事業者の反応(NPO法人環境市民代表理事 杦本育生氏)
>>>資料(PDF)
(2)京都の学生活動の紹介
・同志社大学2017年度プロジェクト科目
「学生×NGOで取り組む!地域~世界の課題に発言・提案しよう!」
・NPO法人アイセック・ジャパン 会員団体 同志社大学委員会
(3)全国的な動きの紹介(SDGs市民社会ネットワーク地域連携アドバイザー 新田英理子氏)
>>>資料(PDF)
(4)中央政府・国連機関の動き(環境省地球環境局国際連携課長補佐 福井陽一氏)
>>>資料(PDF)
(5)地域の動き(横浜市温暖化対策統括本部環境未来都市推進担当部長 秋元康幸氏)
>>>資料(PDF)
○会場参加型グル―プディスカッション「SDGs達成に向けてのアクションプラン作り」
ファシリテーター:環境パートナーシップ会議 副代表理事 星野智子
○全体ディスカッション
コーディネーター:新川達郎氏(同志社大学大学院総合政策科学研究科教授)
コメンテーター:上記の登壇者
内容
地元である同志社大学の学生による発表
午前は京都議定書誕生20周年記念講演会「京都議定書誕生からの20年とこれから」と題して、まずNPO法人気候ネットワーク代表の浅岡美恵氏より、京都議定書がもたらした社会の変化からパリ協定への期待など、国際交渉を俯瞰したお話がありました。
続いて、2017年11月にドイツのボンで開催された第23回気候変動枠組条約締約国会議(COP23)に、気候変動問題に関心のあるユースを派遣したClimate Youth Japanの高橋氏と塚本氏から、現地での活動内容や海外のユースの取組などについて報告がありました。
昼食休憩をはさみ、SDGsシンポジウム「各ステークホルダーによるSDGs最前線とディスカッション」を開催しました。基調講演として、株式会社伊藤園の笹谷秀光氏から「企業戦略としての持続可能性」と題した講演で、企業にとってCSR/CSVやISO26000とSDGsとの関連性や、伊藤園のバリューチェーンにおけるSDGsへの対応の紹介がありました。その後、NPOや学生、政府、自治体など様々なステークホルダーにおけるSDGsに関する短いプレゼンテーションの時間を設けました。
多世代が混ざってのワークショップ
会場参加型グル―プディスカッションでは、まず参加者一人一人が個人として、下記の内容を考える作業を行いました。
①関心ある(取り組んでいる)SDGsの目標
②プレゼンで印象に残ったこと
③SDGs達成のために自分ができること/周囲に働きかけること
④取り組むためのパートナー
「①関心ある(取り組んでいる)SDGsの目標」に書いた内容が近い人同士でグループを作ったところ、7つのグループができ、そのグループごとに、講演や事例紹介を聞いて感じたことや思ったことを共有した上で、今後に向けた具体的なアクションを考えてみました。短い時間のディスカッションでしたが、下記のアイディアが生まれました。
・目標4(質の高い教育):(1)教育をつくる側が学ぶこと、(2)広める(環境をつくる)、(3)気付かせる(問題意識をもつ)、(4)整備していく(プログラムなど)
・目標7(誰もが使えるクリーンエネルギー):(1)太陽光を使った農産物の生産(カカオなど)、(2)太陽光による電力の供給→蓄電池、(3)企業と地球に根づく課題(子どもの貧困とか)を結びつけたい
・目標8(ディーセント・ワークと経済成長):働くことの意味づけをする
全体ディスカッション
・目標12(持続可能な生産と消費):(1)プラスチック包装材を使わないようにする(マイバッグ・マイはし・テイクアウト商品のカップなどの推進)、(2)地産地消(フードマイレージを意識した有機野菜や地元のもの)
・目標13(気候変動へのアクション):気候変動への具体的な対策として、(1)電力会社の見直し、(2)家庭用燃料電池の普及促進、(3)仕事の中でのSDGsのひもづけ
・目標15(陸上の資源):(1)勉強会の企画・実施→ネットワークを作る・異業種とのコラボ、(2)ネットワークを活用したロビー活動
・目標17(目標達成に向けたパートナーシップ):タテワリを乗り越える事例の勉強会
最後に、午後の登壇者がステージに並び、同志社大学の新川達郎氏の進行により、お互いの発表やワークショップを通じての学びや意見について共有を行い、閉会しました。
アンケートからの抜粋
・自分が普段している活動と結びつけて、SDGsを捉えて考えることができた。
・いろいろなセクターの方の取り組みを知ることができてよかった。
・自分たちの未来を考え行動する大学生の発表が印象に残った。また、SDGsのレビューも大変参考になりました。様々な立場からの事例発表も現状を把握する上で良い機会となりました。それぞれの取組主体が、SDGsの目指す社会を表現し、人々に伝えることが、必要と感じました。私自身も、それに努力したいと思います。有難うございました
・各ステークホルダーの立場から様々な意見が聞けて非常に有意義でした。
・京都議定書から20年、日本が他の先進国に比べあまり積極的に行ってこなかったことがグラフなどで目に見えて分かることに驚いた。また若者の積極的な活動(CYJさん)を知り、勇気をもらった。
・大学で学ぶ時、生物学視点や経済学視点からのはたくさんあるが、社会学的な面など新しい視点を得られた。考え方を少し変えられた。
・SDGsをどのように進めるべきか悩んでいたところ、見える化の大事さ、自分の行動点検してみるなど多くの気づきをいただきました。
・まちづくりについても各セクターの取り組みを具体的に学ぶことができました。