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【自治体トップインタビュー】 仙北市 門脇 光浩 市長に聞く
2019/01/30

仙北市SDGs未来都市計画への思いをお聞かせください。


インタビューに答える門脇市長

全国29自治体の一つに選定いただいたことを誇りに思い、市民一体となってSDGsを推進していく所存です。仙北市は、従来から持続可能なまちづくりを実施しており、市だけが残っても意味は無く、「誰一人取り残さない」というSDGsの理念と相通じていると思います。【SDGs未来都市】【国家戦略特区】の指定を受けている当市としては、その強みを生かし、秋田県内の自治体を先導したいと強く感じています。2030年の理想像として、市民と行政の協働による誇りあるまちづくりを進め、「小さな国際文化都市」として市民が生活の豊かさを実感できるようになっていることを目指しています。

仙北市SDGs推進本部の設置の経緯やプロセスを教えてください。

各方面でSDGsの動きが活発化していることに気付き、市としてこれを推進しようと、情報収集し、その中で2018年2月、内閣府「SDGs未来都市」の募集を知りました。国家戦略特区の指定を受けていることに加えて、地方創生の取組みを加速する機会と捉え、2018年3月23日に応募しました。「SDGs未来都市」の認定は不確定でしたが、SDGsの推進は、市の総合計画と重なるものであり、積極的に遂行すべきと考え、市長を本部長、各部長を構成員とする「仙北市SDGs推進本部」の設置に至りました。

仙北市が抱える課題と、それに対する施策はどのようなものですか。

今後はSDGsの推進に積極的に取組み、人口ビジョンや総合戦略に基づき以下を推進したいと考えています。
①農業従事者の高齢化が進む一方で、農業生産額は減少傾向にあることに対しIoT技術を活用することで、農業生産性が向上し高齢化が進む農家においても、今まで以上の耕作面積で栽培が可能となり、生産額の増加と若者の新規就農に繋げられるスマート農業を実現したいと考えます。
②若者の転出を抑止する必要がありますが、魅力的な職種を提供できておらず、高学歴人材の回帰や地元定着、移住に結びついていません。これに対し水素エネルギーの利用が普及することで、これまで弱かった製造業分野でも新規参入が見込め、産業振興に繋がると考えます。
③当市では経済活動が停滞しており、2014年度の市内総生産は-1.0%の成長率であり、国の経済成長率と大きな差があります。そのために新たな産業の振興と基幹産業である農業の生産額向上が必要です。これに対し、IoT技術を広く農家で活用することで、ビジネスモデルを構築し、若者にも魅力のあるICT関連の雇用の提供が可能となり、社会減の抑制や移住定住人口の増加に繋げられると考えます。

農業IoT及び水素エネルギー関連産業の産業振興は、経済面のSDGs推進のみならず、生産人口の増加による地域コミュニティの再生、農業生産性が向上することによる耕作放棄地の解消により環境保全にも貢献するスーパーシティ構想を実現していきたいと考えています。

水素エネルギーの活用による「地域新エネルギービジョン」についてお聞かせください。

2017年11月、東北大学大学院環境科学研究科が、玉川温泉水とアルミニウムを利用し、電力不使用で水素を抽出することに成功しました。玉川温泉水は、強酸性かつ高温のため、CO2を排出せず水素を生成することが可能であり、新エネルギー源として期待しています。水素エネルギーを市民生活や農業分野などに活用していく指針として、2007年に策定の「仙北市地域新エネルギービジョン」を改訂し、玉川温泉の水素生成から多様な活用の可能性を盛込む予定として実証モデルを作り、最終的には現地での「地産地活」を目指します。

田沢湖の環境再生を目指した教育機関との連携と効果はいかがですか。

大曲農業高校では生物工学部が、2011年から田沢湖の水の電気分解による中性化の研究を実施しており、2016年から連携協定を締結し、地元小学校と一緒に、水が電気分解によって生物(メダカ)に与える影響などを研究しています。田沢湖の再生には、相当な時間を要しますが、地元生徒との連携による田沢湖を題材にした環境教育は、次代を担う子供達に、田沢湖再生の意義を伝え、田沢湖再生の襷をつなぐ意味で、極めて重要と考えます。再びクニマスが棲める環境を取り戻すことは、仙北市民の悲願です。世代を超え課題を共有するために、連携は効果的であると考えます。
現状把握のため、2015年から秋田大学や海上技術安全研究所と連携し、水質調査や湖底観測等の大規模調査を行いました。この調査情報は日本陸水学会の研究者にも届き、当該学会の大会が2017年9月に田沢湖で開催され、約200名の湖の研究者が集まりました。それを機に秋田大学、北海道大学、日本大学、信州大学の研究チームが、田沢湖で定期的に学術的調査をしています。
今後は、産学官が連携した中長期的な計画の策定が必要ですが、学術研究機関との協働により、田沢湖の再生に関する技術的・科学的知見が蓄積され、施策の検討に反映することができると考えます。2018年10月には、世界湖沼会議の湖沼セッションで田沢湖の再生に関する発表をする機会をいただきました。このような機会を活用し、田沢湖再生の動きを加速化させていこうと考えています。

取組みを国内外へ情報発信し、普及展開していく中で得られたことはどのようなことですか。

SDGs未来都市選定を受けた際、宮城県東松島市、山形県飯豊町と連携し、「東北SDGs未来都市サミット」を発足する動きとなりました。2018年11月24日には当市で「SDGs未来都市宣言ミニシンポジウム」を開催し、SDGsに関連する取組みを紹介します。今や大手企業は、SDGsに取組んでいないことが経営リスクになるとまで言われており、SDGsによりCSR活動を展開したい企業とうまく連携することが必要だと感じています。SDGs未来都市選定後、多数の関係団体、企業から連携の提案、問い合わせを頂戴しています。

[インタビュー実施日:2018年10月22日]