[開催報告]サステナビリティ円卓会議~SDGs 今とこれから~
2015/09/19
今年9月にSDGs(持続可能な開発目標)が国連で発表されることをふまえ、2015年8月6日に、交渉の状況や今後国内対応がどうなっていくか、持続可能な地域づくりに向けた意見交換のための会議(主催:一般社団法人環境パートナーシップ会議(EPC))が地球環境パートナーシッププラザで開催されました。
(参加者計約40名のうち、消費者・企業・自治体からは数名ずつ、大半はNPO/NGO関係者)
1)SDGs策定プロセス関連報告(環境省)
環境省水・大気環境局(前国際連携課)の水嶋周一氏が、「ポスト2015年開発アジェンダ策定プロセスの概要と今後の政策展開」と題し報告。>>>資料
2) ステークホルダーからの取り組み報告
【消費者】サステナビリティ消費者会議(CCFS) 古谷由紀子氏 >>>資料
消費者の実態・現状と課題、SDGsの内容や達成についての取り組みなどについて報告。
【企 業】株式会社博報堂 川廷昌弘氏 >>>資料
「SDGsを社会実装する ~コミュニケーション会社のCSRとしてSDGsに取り組む~」と題し報告。
【自治体】一般社団法人イクレイ日本 大塚隆志氏 >>>資料
「自治体による転換のための行動プログラム(TAP)」と題し報告。
【NGO】動く→動かす 稲場雅紀氏 >>>資料
「問われる開発系NGOの意識改革」と題し報告。
【NGO】国連生物多様性の10年市民ネットワーク 谷川徹氏 >>>資料
「地域がこれからも持続可能であるためにSDGsはどう関連するのか」と題し報告。
3) ディスカッション
愛媛県内子町からのスカイプを通しての参加も含め、登壇者・参加者による質疑応答、意見・情報交換が行われました。以下のような意見・情報などが共有されました。(コーディネーター:EPC星野智子)
◆世界での取り組み方の紹介および、日本政府と環境省の取り組みの補足説明
・インドネシアでは、SDGsの実現に向けて、大統領を中心とした省庁間調整にとどまらず、科学、テクノロジー、アカデミア、大学関係、市民社会の参加も得られる調整の仕組みを作っていくという情報を得た。
・メキシコやいくつかの国では、リオ+20の時代から、持続可能な開発について政府間での取り組みを続けてきている。
・日本政府全体では、SDGsの各目標・ターゲットについて、省庁間での明確な住み分けはなされていない。17の目標のうち12については環境関係で、非常に広範囲。環境関係の部分については、これまでも外務省など各省庁と調整して取り組んできており、今後の体制整備が課題。指標については、具体的な数値の計測方法、数値目標、達成期限、データの有無など、各作業部会で技術的な議論が行われている。
◆各ステークホルダーから共通して聞かれた意見
・SDGSは、政府だけ、企業だけというように、単独のステークホルダーでは達成できない。また、環境だけでなく、社会、開発、経済など、様々なセクターと取り組んでいくべき。そのためには、SDGsの内容を分かりやすく説明して様々な人に知ってもらい、世論を喚起し、分野を超えた対話を日常的に増やし、取り組みに参加する有力な人を増やしていくことが大切。
・各ステークホルダーが、まずは自分たちの事業活動の中で、重点的に取り組むべきターゲットを特定する。関わりやすいターゲットからアプローチし、様々な他のターゲットと関連し合っていく。皆が当事者として考えて行動していくことが大切。
・SDGsでは、「トランスフォーム」が新しいキーワードとして合意文書に入っているが、何か新しくするというよりは、現在行っている良い取り組みをSDGsに則して調整し、スケールアップしていく。国内にも、様々な地域で良い取り組みはたくさんある。様々なセクターがつながることで、今までどおりではないSDGsの社会実装が実現する。
・SDGsでは、「leave no one behind:誰も取り残さない」が文言に記載されており、それを具現化する指標の設定が必要で、そのプロセスには当事者である子ども、貧困層、脆弱層が含まれるべき。MDGsが作ってしまった「救う側」「救われる側」の分断をいかに再統合するかが最も重要なポイントであり、実施できるのは市民社会ではないか。
◆参加者から「つながり」が誕生
Q:社会的インパクト投資など、民間の資金を従来の投資+αの社会へのリターンを求める投資の法整備が進んでおり、地域活性化への利用が期待できる。しかし、活用するだけのノウハウや構想を立案して実行できる人が地方にはあまりおらず、東京の団体にしかお金が行かないのだろうか?
A:地方にも行動力のある人はいる。具体的な人物を紹介する。
・会議終了後、参加者どうしで名刺交換や意見・情報交換など、ネットワーク作りが行われた。
◆主催者(EPC星野)より
EPCも対話を作っていくことがSDGs達成のためのアクションの1つ。今年度中に、あと3回程、東京・地方で今回の円卓会議のような対話の場を設けたい。