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[サステナビリティ紀行]無料スーパーから食堂まで… 食と人をつなぐ・むすぶ ーNPO法人シェア・マインド
2018/11/28


東京都多摩地区を中心に、フードバンクなどの活動を展開しているのはNPO法人シェア・マインドです。日本では年間645万トンにも及ぶ食品ロスがある一方、日々の食べものや居場所を確保するのも苦労する人たちがいます。こういった課題を解決するために「無料スーパー」や「食堂」などさまざまな活動を展開しているNPO法人シェア・マインドの代表理事・松本靖子さんにお話を伺いました。


無料スーパー開催の様子

シェア・マインドは、フードバンクやSDGs体験ワークショップなど、さまざまな活動を展開されています。中核となる活動目的や理念をお聞かせください。

日本では食べ物が年間646万tも捨てられています。一方で、生活していくのに最低限の食べ物を購入できず、お腹を空かせて困っている方も沢山いらっしゃいます。もったいない食品を活用し、必要とする方達へ、食べ物を届けたいと考えたのが活動のきっかけです。食品は、地域のご家庭やお寺、教会、オフィス、環境活動団体などにご協力いただきながら集めています。お届けする先は、社会福祉協議会や市役所からの紹介であったり、電話やメールでご相談いただいた方です。地域の子ども食堂にもお届けします。もしも経済的な困難に直面した時、食べ物が全く無いのか、それとも一時的にでも支援を受けられるのかでは、心理的な負担は全く違ってくると思うのです。大変な中、ほんの少しでも、希望を持っていただきたいと願いながら活動しています。

フードロスという言葉がわかりにくいといった課題があると伺いました。対応としてどのような活動を展開しているのでしょうか?


あさめし食堂のメニューの一例

2017年9月からは、寄付された食品を無料で提供する『無料スーパー』を毎月1回運営しています。食堂は毎週土曜日、シェア・マインドの拠点で開催されます。家庭や企業で余った食品を活用し、子どもも参加しながら調理します。近所の子どもから高齢者まで参加していただいており、多世代交流の場にもなっています。『フードバンク』や『パントリー』という言葉にピンと来ない方達にも、活動を知っていただきたいからです。2018年3月からは、まちで余った食材で料理する『あさめし食堂』を、毎週土曜日に開催しています。NPO活動を、より気軽に知っていただくためです。必要としている方に食べ物をお届けするため、誰にでも直観的に分かる言葉にしようと心掛けています。

今後、他の団体や地域とのパートナーシップを通じてどのような活動を展開していきたいですか?

どんな活動も、一人一人を対象とした活動や広報では、知っていただくのに限界があると感じています。食品ロス問題も、貧困問題も、日本では今とても大きな課題ですが、なかなか理解を得られなかったり、解決の輪も広がりづらい現実があります。例えば学校や企業ぐるみで食品を集めて寄付をするという、気軽にできる『フードドライブ』という仕組みもあります。学校や企業など、大きなコミュニティで取り組むことで、多くの方に同時に知っていただけるのではと考えています。

松本靖子(まつもとやすこ)1981年生まれ。東京都多摩市に生まれ、多摩市で育つ。 幼少時より、障害者、社会的マイノリティと、その家族が社会環境の中で受ける苦しみを、間近で経験する。そして2015年、貧困によって全てを失った方を目の当たりにし、団体設立を決意する。 2015年11月内閣府より認定を受け、NPO法人シェア・マインド設立。困難に直面している方の尊厳を、守り支える団体でありたいと奮闘中。■早稲田大学 人間科学部 健康福祉学科在籍 ■公益社団法人 東京社会福祉士会 低所得者支援委員会所属