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[サステナビリティ紀行]海外から見た日本の市民社会~C20に参加して
2019/05/30

G20開催の機会に各国のNGOからもC20への参加がありました。4月東京で開催されたC20会合には、のべ800名を超える参加者が40カ国から集まりました。環境・気候変動・エネルギー分科会に事前会合から参加し、4月の会合ではファシリテーターを務めたMercy Corpsの大倉瑶子さんに、C20に関連したお話を伺いました。

米国のNGO団体マーシー・コー(Mercy Corps)のメンバーとしてインドネシア拠点にご活動されているとのことですが、団体の主な活動と、日本のステークホルダーとのパートナーシップによる活動があればお知らせください。

Mercy Corpsは40年に渡り、120以上の国・地域で人道支援や開発事業を行っている、米国の国際NGOです。先進国の開発機関や国際機関に限らず、アップルやスターバックス、また各国の金融機関などの民間セクターと多くの事業を実施しているのがひとつの特徴だと思います。その中でも、私は災害・気候変動の部門の「Zurich Flood Resilience Alliance」という洪水防災の5ヵ年プロジェクトを担当しています。 洪水の被害を、適切な政策や投資によって、最小限にとどめることが最大の目標ですが、この目標を達成するには、現場の知識やプログラム運営に加えて、学問的データも必要となるため、チューリッヒ保険やロンドン・スクール・オブ・エコノミクス等と組み、官民学が連携する形で事業を進めています。

今回日本で開催されるG20に注目し、C20にも関わられていらっしゃいますが、どのようなテーマに関心や期待を持っていますか、またその理由も教えてください。


4月東京で開催されたC20会合

私は大学卒業後、報道機関で働いていたのですが、東日本大震災が起き、その後の復興の過程を取材していました。被災者の方から政策決定者まで、幅広いステイクホルダーと関わらせていただく中で、防災の重要性を痛感しました。この経験がきっかけとなり、防災・災害復興分野へとキャリアを進めるようになりましたね。気候変動により、災害のリスクは世界中で増えています。自然災害であっても、その被害は「自然」ではなく、社会的・経済的状況やジェンダーによって違いが生まれます。より弱い立場の人たちが、より大きな被害を受けるんですね。つまり、災害とは、既に存在しているその地域や国の脆弱性が、より顕著に現れる出来事でもあるのです。防災を強化するには、あらゆる分野とステイクホルダーの連携が必要です。また、1USD相当の防災への投資は、5USD相当の被害を防げるという結果も出ており、経済的にも合理性があります。日本は防災の分野でこれまでも世界をけん引してきているので、G20に限らず、あらゆる場面でリーダーシップを期待したいですね。

日本でもG20開催の機会に併せてC20やW20など、市民社会が発信する会合がありましたが、どのような印象、感想をお持ちですか?アメリカやインドネシアの市民社会と共通の課題や、参考なることはありましたでしょうか。

日本ではまだNGO/NPOセクターが何をしているのか、一般的に知られていないような気がします。「営利を目的にしない」ということは、決して利益を上げてはいけない、ということではなく、企業であれば、利益を株主や社員に分配するのを目的としていますが、NPOの場合は、その利益を事業や活動に充てるという点が、特徴です。国単位での比較として一概には言えないとも思いますが、アメリカの方が、NGO/NPOセクターが一種の専門家集団とみられているケースが多い気がします。その影響か、例えば私が出たハーバード大学のケネディ行政大学院の卒業生の2割はNGO/NPOセクターに就職しています。市民社会と近い立場で仕事をしているNGO/NPOの知識や経験を活かしながら、有効な政策をつくり、事業を進めていくことができたらいいですよね。

大倉瑶子Mercy Corps

Mercy Corpsで、官民学の洪水防災プロジェクト(Zurich Flood Resilience Alliance)のアジア統括。従業員6000人のうち唯一の日本人として、防災や気候変動の問題に取り組む。慶應義塾大学法学部卒業、テレビ朝日報道局に勤務。東日本大震災の取材を通して、防災分野に興味を持ち、ハーバード大学ケネディ・スクール大学院で公共政策修士号取得。UNICEFネパール事務所、マサチューセッツ工科大学(MIT)のUrban Risk Lab、ミャンマーの防災専門NGOを経て、現職。