[サステナビリティ紀行]RCE道央圏の挑戦 -ローカルからグローバル課題を解決するために-
2016/02/26
2016年3月、北海道に国連大学の認定する地域教育拠点(RCE)、「RCE道央圏」が設立します。グローバルな課題を、ローカルで解決する拠点として、SDGsの達成に向けて地域の活動をつなげてゆく役割を担うという同組織。どのようなビジョンのもと、活動を組み立てているのでしょう。
RCE北海道道央圏設立準備会事務局の有坂さんに伺いました。
(語り手:RCE北海道道央圏設立準備会事務局 有坂美紀さん)
北海道には既に、EPO(環境パートナーシップオフィス)やNPOサポートセンターなど、 地域の活動をつなぐ組織も多くあるように思いますが、なぜRECを設立することにしたのでしょう。どのような人たちとのネットワークに力を入れる予定ですか。
北海道には既に多様な社会問題に取り組む人や組織が多く存在しています。そもそもすべての社会問題は繋がっていますし、地域の取り組みは地球規模の課題解決の一端を担っています。時には異なる分野の問題や違う立場、地域の人たちと出会い、一緒に活動することで新たな発見や協働が生まれ、課題解決の速度を上げることができるのではと考えています。
RCEは国連大学が認定するもので、アジア・太平洋、南北アメリカ、アフリカ、欧州と世界146カ所(2016年2月現在)に存在しています。RCE道央圏協議会を設立し、地域の多様な分野、立場の方々を巻き込みつつ、RCEという地球規模のネットワークに参画することで世界各地とも連携し、ノウハウを共有しながら課題解決に取り組むことを想定しています。同時に、北海道の活動や魅力を世界に発信したいですね。
RCE道央圏は中間支援組織ではなく、多様な組織が持つ専門知識、ノウハウが集まる地域の拠点であり、互いに助け合う機能でありたいと思っています。情報や知識をどんどん共有し、持続可能な社会づくりに向けた取り組みを活性化していきたいですね。
道央圏には、どのような課題がありますか。RCE道央圏はそれにどう対応しようとしているのでしょうか。
RCE道央圏では、特に取り組むべき課題として、
1.生物多様性の保全と回復
2.気候変動への対応
3.エネルギーの開拓の歴史の振り返りと持続性の確保
4.人口減少・少子高齢化・グローバル化に適応する地域づくり
5.持続可能な産業と暮らしの安心安全の確保
6.先住民族との公正な関係づくり
という6つのテーマを挙げています。
RCE道央圏の活動は、これら6つのテーマに関連したものになりますが、特に大切なことは「プラス1原則」を守るという約束です。これまでとは違うやり方、分野、地域に一方踏み出すこと。 意識的にハードルを越えたいんです。多様なRCE道央圏のメンバーがこれまでの壁を破ろうとすることで、新しい連携やノウハウが生まれ、よりよい社会に向けた変革へと進んでいけると思っています。そのための交流の場づくりや、世界各地との情報受発信、北海道の課題や魅力の見える化するという役割をRCE道央圏は果たしていきたいと考えています。
地域の課題を解決するために、SDGsをどの活用すればいいでしょうか。国際目標を地域の人と共有する上でのアドバイスやアイデアがあればお聞かせください。
SDGsは普遍性があり、その点においてチェック機能を果たしてくれると考えています。北海道の活動に抜けている視点はないか、強みはどこかなど、SDGsに照らし合わせることで見やすくなると思います。
また、世界の目標に自分たちの活動を照らすことで、世界の問題に対して自分たちの活動がどう関わっているのかが見えてきます。地域の課題解決のために動いていたけれど、世界の問題解決にも一役買っている。そう気付くことができれば、活動に対するモチベーションも向上すると思うのです。
個々の活動の繋がりが見えてきて、同時に世界との繋がりも感じられる。感じられるだけでなく、実際に協働することで推進力を何倍にもできる。課題解決のための新たな地域内外の協働を生み、持続可能な社会に変革していくためツールとしてSDGsを使っていきたいですね。
※この記事は2月末時点のものです。3月16日に設立総会があり、RCE北海道道央圏協議会が設立されました。
有坂美紀 (ありさか みき)
RCE北海道道央圏設立準備会事務局 。大学では農学、海洋生物学を専攻。水産業界紙の記者を経て渡豪。帰国後、2015年4月まで環境省北海道環境パートナーシップオフィスのスタッフ。2013年には中南米を縦断。現在はRCE北海道道央圏設立準備会事務局。持続可能な社会づくりに関する事業を行うCuestión de Peso 代表。原発被災者の保養等を行う山形つながるプロジェクト、スリランカで国際協力を行うNPO法人アプカスのスタッフとしても活動中。