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[サステナビリティ紀行]地域の市民力を活かし、パートナーシップでSDGs達成を目指す
2021/01/19


 自治体によるSDGs未来都市が増えたり、大学や協同組合などあらゆるステークホルダーによるSDGs取組が広がっていますが、地域ごとのプラットフォームもできつつあります。
今回は、主に富山県内で活動している団体や市民によって作られた「環境市民プラットフォームとやま」の活動について事務局長の堺勇人さんにお話を伺いました。

質問1:貴団体の特徴や活動、どのような方たちが関わっているかなど、教えてください。最近の主な活動は何でしょうか。

 1991年から続く「アースデイとやま」を母体に、SDGsを標榜し持続可能な社会へのアクションを日常化・一般化しようと2018年に発足した団体です。大学教員、企業・団体役員、個人事業主など多様なメンバーが理事となり、垣根を超えたパートナーシップによるSDGs普及促進事業を展開しています。具体的には、市民や企業向けのSDGsセミナーや対話交流カフェの開催、各地域でのパートナーシップ実践のコーディネートなどを行っています。


団体発足時の記念写真
(幹部役員で記者会見を行いました)

質問2:富山または北陸地域特有の課題や、取組を重視しているSDGsの目標はありますか?

 富山では「SDGs=環境のこと」と捉えられている感があります。人権や福祉といった社会面の課題も含むことを広く共有したいと、今年度は「誰一人取り残さない」ことにフォーカスした交流会(SDGsトークカフェ)を実施しました。不登校、一人親家庭、障害者、外国人、性的マイノリティといったテーマで、それぞれの支援活動をされている方をゲストに招き、その実態を伺いつつ、参加者全員でどのような地域になればみんなが生きやすくなるかについて対話しました。

質問3:他の地域との連携・ネットワークはされていますか?富山市はSDGs未来都市に選定されていますが、行政との協力体制はいかがでしょうか。

 環境省中部環境パートナーシップオフィス(EPO中部)やSDGs市民社会ネットワーク(地域ユニット)と連携し、他地域との情報交換や協働事業を行っています。そうして得られたものを富山県に還元していくように心がけています。県内行政からは、当団体が先行してSDGsに取り組んでいたこともあり、よく相談を持ち掛けられます。特にSDGs未来都市である、富山県、富山市、南砺市とはそれぞれの普及促進事業に対して、実際に様々な形で協力しています。互いに学び合い、協調し合うことを大切にしています。

リアル会場(お寺)とオンラインと同時開催したSDGsトークカフェ。
対話の様子はグラフィックレコーディングで見える化しました。

質問4:今度の活動を推進するにあたって、ステークホルダー連携やパートナーシップについて、提案や期待していることがあればお聞かせください。

 パンデミックや気候変動に伴う災害増加など、地域単位でのレジリエンスを高める必要性を強く感じています。そのためにも、現在個々での活動にとどまりがちな各セクターが連携し、多様性や包摂性を担保していくことが重要だと思っています。かつては難しかったそのような連携もSDGsを標榜することで実現しやすくなっていると実感します。その具体策として、SDGsの地域指標づくりからモニタリングまでを、多様なセクターとの連携により実現できたらと考えています。そのプロセスから、相互の学びと協働のスパイラルが生まれ、不確実な社会に対応しうる仕組みが構築されることを夢見ています。

*参考URL

【団体Webサイト】https://www.pectoyama.org/
【団体YouTube】https://www.youtube.com/channel/UCj4FpQkRLh9u_GgtFntBeVQ

堺 勇人プロフィール:堺 勇人(さかい・はやと)
一般社団法人 環境市民プラットフォームとやま(PECとやま)常務理事・事務局長。
環境省EPO中部 協働コーディネーター。元富山県立大学地域協働コーディネーター。環境問題と教育に関心を持ち、環境コンサルタント業と教育業(フリースクールおよび中高理科教員)に20年携わる。千葉県にて自給自足生活を実践中に福島原発事故に遭遇。以降、富山県に移住し、持続可能な地域づくりのコーディネートを担う。