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[サステナビリティ紀行]気候変動COP27を見た大学生
2022/11/28

2022年11月6日から18日まで、エジプトのシャルム・エル・シェイクにおいて国連気候変動枠組条約第27回締約国会議(COP27)が開かれました。1.5度目標をどのように達成していくのか、損害と損失のための資金は誰が負担するのか、議論が難航したようです。気候変動問題には今、多くの若者が注目しています。
ユースの立場で現場に行ってきた、青年環境NGO Climate Youth Japanの、高橋櫻さん(大学1年生)にお話を伺いました。

質問1:気候変動問題に関して関心をもつようになったきっかけにはどのようなことがあったのでしょうか。普段はどのような活動を行っていますか。

高校生の時に農家さんと一緒に課外活動をしていたのですが、その中で農業を営む上では様々な法律が絡んでくること、中には制度が現場の事情に即していなかったり、仕組みの関係ですぐに変えることが難しかったりすることを知りました。そこから政策立案やその過程に関心がわき、青年環境NGO Climate Youth Japanに加入しました。また自然と共に仕事をする際に、気候変動による気象や生態系への影響は避けては通れない問題なので、気候変動を将来携わりたい分野の重要課題として意識するようになりました。農業に限らず土地利用全般に興味があるので、学校では地球環境、都市計画、空間分析などを学んでいます。
青年環境NGO Climate Youth Japanでは、省庁・企業との意見交換やCOP事業、内部での勉強会運営に携わっています。

質問2: 現地ではどのような会合やイベントに参加しましたか。参加してみて、感じたことや印象などを聞かせてください。

パリ協定6条と炭素市場の今後の動向に興味があったため、6条に関する会議の傍聴やカーボンクレジットのサイドイベントに参加しました。会議では、「何行目のこの表現をこう変えるべき」、「何行目の表現は消去/維持すべき」などの細かい表現単位での議論が行われていました。特に各国の経済・文化的背景が、その国の発言内容やどの国の発言を支持するかに反映されていることを肌身で感じられた点が面白かったです。サイドイベントでは、イベント後に登壇者に話しかけに行けるので、個人的には企業や政府のトップレベルの方と直接お話しできることに感動しました。
また、気候正義パビリオンで登壇もしました。テーマが「気候正義と気候教育、21世紀の気候リーダー」だったのですが、私は日本の気候教育の現状と理想的な気候教育について話しました。アジア・アフリカ・アメリカからの10人以上のユースとパネルディスカッションをして、地域ごとの様々な意見が飛び交う非常に貴重な体験でした。そこで関わった人達とは、COP後も地域ごとのユースネットワークの構築や協業を続けていきたいと話したので、今後の活動にも反映していきたいです。

(金融の常設委員会の会議の様子。各国交渉官が集う。)

(自主的炭素市場に関する会見。オブザーバーも企業の方が多い印象で、会見後の質問も盛んだった。)

質問3:各国政府やNGOの方と話す中で印象に残っていることはどのようなことですか。気候変動対策へのヒントや参考なることはありましたか。

一番忘れられないのは、CAN(Climate Action Network:世界最大の気候変動NGOのネットワーク組織)の会見で登壇していた方の言葉です。
まず私は、今日の気候変動の議論は資金拠出が重要視されていると感じています。しかし、ただ単に資金拠出をしてもそれを使う人が、適切な使い方や本当に資金援助を求めている人を知らなければ、誰かのポケットマネーになるか一時的な開発に使われるだけで「持続可能な開発」にはつながっていないと考えています。気候変動の議論において重要視されていることを自分の目で確かめたいという想いもありCOPに参加したのですが、CANの会見で資金拠出の重要性について訴えていたので、会見後に登壇していた方に話しかけに行きました。
私が「資金以外で気候変動対策において重要なことは何だと思いますか?資金以外です。」と聞いたところ、「資金。資金が最も重要だ。資金とクリーンテクノロジー。」と言われました。「資金以外」と強調して聞いたのに、「資金が最重要」と他に選択肢はないかのように返答されたことに対して、市民に近い立場のNGOでさえも資金拠出一辺倒なのだろうかと衝撃を受けました。その後も、第一線を退いた国のトップが資金と技術の重要性を語っていることや会場内のアクションで資金拠出を訴えるボードを掲げている同年代の姿を見て、資金と技術「以外の対策が取り上げられていない」ことに疑問を感じました。もちろん資金がないと何も始められないし、技術がないと何も実現できないと思うのですが、資金と技術のモノがあってもそれを使える人がいなければ無用の長物ではないかと強く思うきっかけになりました。
ただ、今回のCOPで聞いた意見はあくまで私が会えた一部の方々の意見であり、今の私には資金・技術以外に何が必要か誰と協力しなければいけないかについて自信を持って答えられるほどの知識や経験は十分にないと思います。私なりの最適解を探すには、より多くの立場の方と意見交換をして、各国の歴史・文化・風土を見聞きし、ルールメイキングの仕組みを知る必要があると考えています。そのため、たくさんの価値観を吸収して、それらを少しでも多く反映できるような社会の実現に還元していきたいです。

(会場内での化石燃料廃止を訴えるユースのアクション)

質問4:気候危機を乗り越えるためのユースの役割や他のステークホルダーとの連携・パートナーシップについて、提案やコメントがあればお願いします。

ユースの強みは所属に縛られないことだと考えています。政府の代表や企業の代表として来た場合、すべて自分の本音ではなくて所属機関の立場に合わせた意見を言わなくてはいけないと思います。しかしユースの場合、この地球に住む一人の住人として感じたことや意見を伝えられることが、他のステークホルダーにはできない大きな役割だと思います。COP27では、昨年に引き続きユースと大臣・国連機関との意見交換の場やCOP初となるChildren & Youth Pavilionが設けられ、ユースの声を取り組む動きは活発になってきています。だからこそこういった機会を積極的に活用して、将来世代である私たちの意見を意思決定の場に取り込める仕組みづくりを着実に進めていく必要があると考えます。
 

プロフィール:髙橋櫻(たかはしさくら)
髙橋櫻慶應義塾大学環境情報学部1年。大学では地球環境、空間分析を学ぶ。
青年環境NGO Climate Youth Japanの派遣メンバーとして、11月6日~12日にCOP27に参加。政策決定者と企業・市民の連携に関心があり、OECD Youthwise (OECDのユースアドバイザリーボード) の2022年度メンバーとしても活動する。