[サステナビリティ紀行]中間支援ネットワークの存在意義と防災
2014/12/5
話し手:特定非営利活動法人ひろしまNPOセンター 松原裕樹さん
●ひろしまNPOセンターは中間支援組織として、どのような活動をしているのですか。広島市土砂災害ではどのような活動をされたのでしょうか。
広島県における民設民営の中間支援組織として、中国地方及び全国の中間支援組織等とのネットワークを活かした災害・復興支援や防災取組を行っています。
広島市では、行政や社会福祉協議会、企業、NPO等が災害時対策や役割分担に備えていましたが、非常時における中立的な判断や新たに発生する利害関係の調整など、協働取組を臨機応変にコーディネートすることが求められ、私たちの日常の関係性と中間支援組織という立場の強みを活かすことができました。
また、目まぐるしく変化する被災地の状況や混乱する情報、二次災害の危険性がある中、局所的な被災地域に県内外から50団体を超える災害支援のNPO・NGO等が集まりました。そこで、災害ボランティアセンターを含めて、それらの支援者の関係構築や連携を促す「広島市土砂災害NPO/NGO支援連絡会議」を開催し、“支援者への支援”を行いました。(右写真:集中豪雨による土砂災害 広島市安佐南区)
●土砂災害の起こる2週間前に、EPO東北と連携し、東日本大震災の教訓から、中間支援組織の役割を学ぶ交流会を開催していたそうですが、その反響はいかがでしたか。
中国5県の中間支援組織や自治体(市民活動・防災関係担当者)、社会福祉協議会、NPO・NGOネットワーク組織と共に学び合うことで、非常時における中間支援組織の役割について理解を深め、日常からの関係構築の大切さを共有することができました。学びをすぐに活かせたとは言い難いですが、行政や社会福祉協議会、企業、NPO、地域住民等との協働による災害支援や復興活動を通じて、中間支援組織の存在意義が広く認識された機会になりました。(右写真:中間支援組織交流会inひろしま)
●EPO東北は主に環境・パートナーシップに注力した団体で、NPOセンターとは少し活動領域が異なりますが、活動領域の異なる市民団体/CSOの連携にはどのような意義が見出せますか。
活動領域の異なる団体が連携することで、それぞれの分野や地域が抱えている課題をつなぎ、新しいアプローチを見出すことができます。
EPO東北とは昨年度、広島県で「再生可能エネルギー交流会」を共催し、東日本大震災の経験から再生可能エネルギーのあり方や役割を見直す試みを、環境だけでなく防災の視点で議論を行いました。また今年の11月には、EPO東北と四国EPOが開催した「ESD研修会~東日本大震災から学ぶ地域の伝承・地名~」に関わり、広域的な防災の視点や地域を越えた連携の可能性を見出すことができました。
中間支援組織は常日頃の活動領域において、多様な立場や分野、世代との関係構築を密にしておくこと、活動領域の根っこの部分でつながる考え方をネットワーク間で共有しておくことが大事だと考えます。
松原裕樹(まつばら ひろき)
1982年広島生まれ。NPOや企業、渡米経験を経て、環境・教育・観光・地域づくり・防災などに関する事業の企画や運営、コーディネートを行っている。2012年より、ひろしまNPOセンターに勤務、主に協働取組やESD(持続可能な開発のための教育)の中間支援業務を担当している。特定非営利活動法人ひろしまNPOセンター プロジェクト・マネージャー、内閣官房地域活性化伝道師。