[サステナビリティ紀行]経済をグリーンにするために — グリーンコンシューマー活動
2015/03/20
語り手:認定NPO法人環境市民代表 杦本育生さん
●環境市民は「グリーンコンシューマー活動」に力を入れていますがその理由は何ですか。
私たち認定NPO法人環境市民のめざす将来像は「持続可能で豊かな社会・生活」の実現です。その将来像を実現するために5つのミッションを定めていて、そのひとつが「経済をグリーンにする」、もうひとつが「豊かなライフスタイルを創造する」です。この2つのミッションを具体化するために最も力を入れて展開してきたのがグリーンコンシューマー活動です。
環境市民発足の準備段階から活動を具体化し、京都市内のスーパー等の全店舗の環境配慮製品の品揃えと環境活動の取り組み状況を調査して、ガイドブックとして91年に発行しました。この買い物ガイドはマスメディアに大きく取り上げられ、90年代には、100を超える地域で同様のガイドづくり盛んに行われました。また全国版のガイドもNPOのネットワークで調査し、講談社と小学館から発行しました。さらに環境学習ツールとして「買い物ゲーム」を開発し、現在でも日本各地で実施されています。(右写真;「買い物ゲーム」を使って学習)
このような活動が、ごみ減量、地球温暖化防止に効果のある根源的な活動として伝わっていくとともに、グリーン購入法の制定やグリーン購入ネットワークの結成にもつながりました(2005年版環境白書)。
●グリーンコンシューマー活動を定着し、広めていくためにどのような活動が必要でしょうか。
環境市民では、グリーンコンシューマー活動を広げていくためには、対応する事業者への働きかけも大切と考え、京都で多くのステークホルダーとともに家電製品の省エネ性能ラベルの考案と普及(現在の統一省エネルギーラベルの原型)や、自動車販売店、家電販売店等の店長やスタッフを対象とした環境マイスター研修認定事業(2日間の研修で地球温暖化問題とグリーンコンシューマーを中心に学び、顧客に適切な商品選択を促す。これまでに約3800人を認定)にも取り組んで来ました。(下写真;グリーンコンシューマー活動の一環として、スーパーの店先で環境配慮製品の品揃えなどをチェックする)
ただ、持続可能な消費と生産を実現するためには、更なる活動をあらゆるセクターで展開する必要があると考え、次なるステージの活動をスタートしようとしています。ひとつは日本ではまだあまり認識されていないグリーンウォッシュを防ぎ、より良い環境コミュニケーションを創る活動です。そのため先進的な企業に呼びかけ、企業研修の実施、継続的取り組みが可能体制づくりをすすめ、そのネットワーク化を始めようとしています。
また、エシカルを含んだ深いグリーンコンシューマー活動に取り組む団体を、全国的にネットワーク化して共同研修や共同調査を行い、消費者が商品選択にすぐに活用できる情報を、モバイルを用いて提供することに取り組もうとしています。
杦本育生(すぎもと いくお)
認定NPO法人環境市民代表。日本でグリーンコンシューマー活動を、仲間とともに初めて具体化し、各地に展開(2004年に環境市民として環境大臣賞受賞)。持続可能な社会を地域から実現するため「日本の環境首都コンテスト」をNGOのネットワークで10年にわたり実施。また、阪急電車エコトレイン、ジャスコでのCOP3キャンペーン、各地の自治体での住民参画での環境基本計画策定などパートナーシップ事業を多数実現。